欲しい愛と、知らない恋 ３

９９ 北山side ページ1

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「ひろ〜！！」







リビングの扉を開けると
よろけてしまうくらいに勢いよく飛び込んできた彩月。

それを受け止めると
その向こう側で、疲れきった顔の玉がいた。









「やっと解放された…」


「ちょっとぉ！
解放ってなによぉ！ゆうたぁ〜！！」







思わず漏れた本音に反応した彩月が
また玉のとこに駆け寄って、おりゃ〜ってじゃれてる。

そんな彩月に小さくため息をついて
ソファにあった上着を取り
頭からボスっとかぶせてやった。








「あっ、ちょっと何するのっ」


「ほら、帰るぞ」


「え？やだっ、まだ帰んない」


「玉が迷惑してんだろ？」


「じゃあひろのとこ泊まる！」


「は？」


「そもそもひろが私の誘い断ったから
裕太に付き合ってもらってたんだもーん。
それなのに家にいたんじゃないっ」


「…家での用事だったんだよ」







その言葉に一瞬大人しくなると
まっすぐに俺を見据えた。








「……女の子でもいるの？」


「…別に彩月に関係ねぇだろ」


「・・・」


「ほら、タクシー呼ぶから行くぞ」


「じゃあ下まで送ってくれる？」


「わかったから、行くから」






その言葉にようやく納得してくれたらしい彩月が
帰り支度で俺から離れた隙をついて
玉が俺に近付いてきた。









「ごめんね、来てもらっちゃって」


「いや、元はと言えば俺が断ったからだし」


「まぁね〜。
それもあるし離婚もしたみたいだし
大分荒れてたよ、彩月姉ちゃん」


「…玉も聞いたの？」







転がってる空き缶を拾いながら淡々と話す玉に
驚いて、思わずガン見した。







「うん。聞いたよ？
ミツはこの前泊めた時に聞いたんでしょ？」


「…まぁ、」


「それで悩んじゃってる感じ？」








空き缶から俺へと視線をうつし
まっすぐな瞳に見つめられる。

玉は一見他人に興味がないように見えるけど
誰よりも周りを見てるから…、

だからこそ
全て見透かされてそうで、何も言えなかった。

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