欲しい愛と、知らない恋 ２

６０ 玉森side ページ11

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「あっれー？
どこだっけぇぇ…、」









取引先のお姉さんに媚びまくった今日の仕事を終えて家に戻った。

靴を脱いでネクタイを緩めてると
玄関扉の向こう側から聞こえてきた、その声。


何やらガチャガチャしてるし
何事かと扉を開けると、









「あっれ〜？
玉ちゃん？なんで〜？」








鍵を片手になぜか俺の部屋の前でしゃがみこんでるA。








・・・ん？









「酒くさっ」


「え〜？そう？」









少し近付いただけで、Aの香りに混じって酒の匂いがした。

勘弁してよ、って顔をしかめる俺に
でへへー、ってほんのり赤く染まった顔を緩ませた。









「なに？どっかで飲んできたの？」


「うーん、どこだと思う？」


「知らんわっ！」


「きゃは、玉ちゃんがツッコミした〜」









めずらしぃ〜、って言いながら立ち上がると
少しふらついたAが、俺の腕にしがみついた。


酔っ払ってうるんでる瞳で見上げられて
思わずドキッとする。









「…酔い過ぎじゃない？」


「そんなことないよ〜」


「てか何でここにいるの？」


「え？何でってここ私のおうちでしょ？」








キョトン、と目を丸くして自信満々にそう言うけど
どう考えても、ここ俺の部屋だし。

階数絶対まちがえてる、この酔っ払い。









「ここ俺の部屋だから」


「え？うそ？」


「階数まちがえてると思いまーす」


「あらら〜」








間違えちゃった、ってまたヘラヘラして
俺から手を離し、またフラフラとエレベーターへと向かった。







.









がんっ、

「いたっ！」






がこんっ、

「いったっ！」









「・・・」









・・・大丈夫なのか、この子は。

ミツのペットになるとか変な子、とは思ったけど
話した感じは割としっかりはしてるのかなって思ってたんだけど
全然じゃん。

めちゃくちゃ隙だらけ。









.









「ほら、とりあえず俺んち入って
水でも飲んで落ち着きなよ」









気付くいたら俺は
壁に激突してたAの体を支えて
そう口にしていた。

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