欲しい愛と、知らない恋 ２

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「今日なんか食い行くか？」


「うん、行くーっ！」







ひろの仕事が久しぶりに早く終わって
まだ外が薄暗く明るい景色。

おいしいものでも食べに行こうと(多分肉)
一緒にマンションを出ると
大荷物を持った一人の人影が近付いてきた。






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「ひろーっ！！」









私と同じ呼び方で
私の隣の人に向かって勢いよく走ってくると









「ひろっ！久しぶり！」








ドンッ…、と荷物ごと勢いよく胸の中に飛び込んだ。

あまりにも突然の事で訳も分からず
呆然と隣でその光景を見つめてると、

ひろも同じように呆然としてたけど
ハッとしたように顔を歪めた。








「彩月…？」


「そうだよーん、ただいまっ。
こっちに帰ってきたから会いに来ちゃった」







てへっ、て可愛く笑ったその人は
ひろより少しだけ低い身長で
ひろの首に当たり前のように抱きついた。






「はっ、帰ってきた…？」


「帰ってきたっていうか
一時帰宅だけどね。
久しぶりにお母さん達にも会いたかったし
ひろもどうしてるかなーって思ってさ」









まるで私なんて存在してないかのように話を続ける二人に
じっ…、とその様子を見つめることしか出来なかった。








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「……ん？あれ？
わっ、ごめん！彼女と一緒だったの？！」






ようやく私に気付いたのか
私を見るなり、パッとひろから離れて
早く言いなさいよっ！ってひろの腕をばしばし叩いてる。

言いなさいよ、っていうか
近付いて来る時に私の存在は見えなかったのだろうか…？








「つか、彼女じゃねぇし」


「え？そうなの？」









キョトン、と私を見つめるその女の人に
何も言えず俯いた。




さっきまで夕日が照らす薄暗さで綺麗だった色が
今はもう、暗くどんよりした色に変わって見える。









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”彼女じゃねぇし”






って言葉が、なぜだか心に深く突き刺さって。









二人の仲睦まじそうな距離感に
今ひろの一番近い距離にいるのは私なんじゃないか、って思ってしまってた自惚れに
心が苦しくなった。

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