唇で語れたら。

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「ねぇ！これおいしいんですけど？！」


「まじ？ハンバーグ？」


「そう！食べてみてください」







あれから結局奢ってもらって
アイスもついでに買って北山さん家に帰宅した。







「ほんとだ、うまっ」


「ね！このオムライスもとろとろでおいしい〜」


「とろとろ？」


「卵がとろとろですよ」


「卵が、なに？」


「え？とろとろ？」


「なに？」


「とろと………、
……な、なんですか…？」







なぜか言わせたがり
言えば言うほど、ニヤニヤ。








「やらしいな、とろとろって言われると」


「……は？」


「ここ、とろとろだよ
って言ってみて」


「ばっ、はぁっ？！？！///」


「はは、冗談冗談」






ケタケタ笑いながらとろとろのオムライスを頬張った。







「お、うまいなとろとろ」


「……もうとろとろって言わないでください。」


「とろとろ〜とろとろ〜」


「やめてっ！///」







からかいながら楽しそうな北山さんに
オムライスを奪い取って口に含んだ。


すると”まだ俺も食いたい”って
横から手を伸ばしてくるから
あげませーん、って軽く反対側を向いて背を向けると








「食わせろ〜〜」


「やです〜っ！」






食べさせろ合戦が始まって
テーブルの前でわちゃわちゃ。







「もう一口っ！とろとろを！」


「とろとろ言う人にはあげません！」


「なんでだよっ？！」


「北山さんが変なこと言うからでしょっ？！」






そんなやり取りをしてると
むぅ、っと唇を可愛くした北山さんが







「あっ、───」







不意に私の体ごと全部後ろからすっぽり包み込んだかと思うと
スプーンを持ってた手ごと掴んで
そのまま私の顔の横から顔を覗かせ
勝手にオムライスを頬張った。







「んーま！」









私を抱きしめてる形で無邪気にもぐもぐして
私だけが勝手にまたドキドキしてるんだと思う。

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