優しい雨

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「あれ？北山さんと二階堂さん？」








店を出てすっかり暗くなった道を歩いていると
すれ違いざまに二人の女の子に声をかけられた。

ファンの子に見つかったのかと
思わず二階堂と二人でギクッとして振り返ると
見覚えのある顔ぶれ。








「あ、こんばんは〜」


「わぁ！すごい偶然！
お二人でご飯ですか〜？」


「そう、いま食い終わって帰るか〜ってなってたとこで。
二人は？まだこれからどっか行くの？」


「そうなんです〜！どこ行こっかって話してたところで」







最近よく共演が多い同じ業界のアイドル二人。

二人も結構酒が入ってるらしく
キャッキャとボディタッチを交えつつそんな話をしてて。








「あ、良かったら一緒にどうですか〜？」


「え？」


「最近共演も多いですし、親睦深めましょうよ〜♪」








その言葉に二階堂と目を見合わせた。






無理。(北山)

いや、俺は行きたい(二階堂)

合コン的なのはまずい。(北山)

大丈夫。合コンじゃない、これも親睦を深める仕事だ。(二階堂)








こんなアイコンタクトをすること数秒…、







「じゃあちょっとだけ行きますか！」


「やった〜！！」






おいおい、俺のアイコンタクト無視かよ。



ジロっと二階堂を見るも視線を逸らして
一人の女の子ともう歩き出してて
小さく息を吐いて残された女の子に声をかけた。







「んじゃ、行きますか」


「わ〜い！私北山さんとちゃんとお話してみたかったんですよね〜♪」






むぎゅ、って近付いてくるその子に
A以外の感触を久しく感じてすげぇ違和感を覚えた。








「はは…、それはそれはありがたい」


「飲みまくりますよ〜！」







若干の苦笑いを浮かべつつ
俺らも二階堂達の後に続こうと足を踏み出すと
目の前に立ち尽くす見慣れた姿。









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「みっくん…？」



「A…？」









暗くてよく見えなかったけど
今まで見たこともないような悲しい目をしてた気がした。

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