優しい雨

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───・・・



「ミツ！ミツってば！！」


「へ？」


「次ミツの番だって！」


「あ、わり」







Aと別れようがなんだろうが
時は過ぎるし、仕事もある。

心にポッカリと穴が開いたような空虚感。









「お、北山さんいいですね〜！」

「もう少し笑顔くださ〜い！」






雑誌撮影の仕事。
パシャパシャと目の前でカメラを向けられて
笑いたくもないのに笑顔作って。



なんなんだよ、これ。



俺、何のために仕事してんだっけ・・？








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「はい、オッケーです！ありがとうございました」


「お疲れ様でした〜」









ふぅ、って一息ついて控え室から窓に目を向けると外はもう暗くて
長い一日が終わる。


一日ってこんな長かったっけ？

毎日、何を考えて何してたんだっけ？








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「ミツ、スタッフさんが飯行こうって〜」


「あ〜…わり。今日パスで」


「え？何で？」


「…ちょっと用事あってさ」


「ふ〜ん。珍しいね」








じゃあ俺ら行くわ〜、って二階堂や宮田が楽しそうに控え室を出ていって
シン、とした室内におっきいため息がもれた。








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あいつ、今頃どこで何してんだろ。



これから先、俺じゃない誰かを好きになって
俺の大好きだった笑顔を
不器用な料理を
眠いと猫みたいに甘える仕草を
他にも沢山俺が好きだったAの全てを
他の男に見せるのかな・・。








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「耐えらんねぇよ……。」








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仕事も、付き合いも、俺の生活全ては
Aがいたからこそ頑張れてたのに。







会えなくても、連絡をとれなくても
そばにいてくれるだなんて、俺の考えが甘すぎた。









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他になにもいらない。

俺の隣にいてくれるなら、他になんにもいらねぇのに・・。

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