HONEY LOVE １

中毒ごっこ ページ46

＊はじまる恋の主人公(阿部ちゃん)が出てきますが、読んでなくてもわかる内容になってると思います。
一応補足として、ライブスタッフで北山さんの元カノ、たいぴ今彼っていう設定です。
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「阿部ちゃん、ちょっといい？」


「はいっ！」








ライブリハ中。

バタバタと準備に追われていると、ふと北山さんから手招きをうけた。








「どうしました？！」








忙しさから強い口調になってしまった私とは裏腹に
緩〜い感じで少し周りをキョロキョロしてから近くの部屋へ押し込まれた。








「……？」







ライブの小道具やらがごちゃごちゃしている少し小さめな部屋で
急なシーンとした空間と二人きりの状況に首を傾げた。

そんな私を気にする素振りもなく
ひらっ、と一枚の白い布を手にした北山さん。








「あの……？」








さっきからなんなんだろ、言葉すら発さないんだけども。

ただその白い布を手に広げて
じーっと私を見るばかり。








「な、なんなんですかっ？！///」








その視線があまりにも真っ直ぐだから耐えきれず
身を引くように後ずさると
そのままジリジリと距離を詰めてくる。









「ちょっとシミュレーションしてみていい？」


「え？」


「ライブの演出で悩んでてさ、ちょっと何パターンか見てもらいてんだけど」


「わ、私が…？」







最もど素人な私にそんな演出を見せられても
いい答えを見いだせる気が全くしないんですが。






.









「とりあえず１パターン目な」






急かすようにそう言うと、不意にその布を頭に被せるようにした北山さん。


そしてそのまま
聞き慣れてる曲を歌い始めて、






「乗り過ごしたふりしてよ」







ここまで歌うと、至近距離でバチッと視線が合わさった。

そして可愛らしい笑顔を見せると、









「もう終電なーいぜっ」


「？！？！？」









そのままバフっ……、
と一気に目の前が真っ暗になった。









.








「どう？」


「えっ？！？！」







状況が理解出来なくてパニックになってると
すぐ近くで聞こえてくる声。

その声に、さっきの布を私も被せられたんだと理解した。




少し暑い布の中
北山さんの前髪と、私の前髪が触れる音がする。








「ひっ、……っ、」







ぎゃああぁぁぁ……、っと悲鳴を上げそうになった瞬間に
目の前がまた明るくなって、笑いを堪えてる北山さんが喉を震わせていた。

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