HONEY LOVE １

＊ ページ43

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「次牛タン焼けたぞ」


「………うん、」






なんか焼いてたら腹減ってきたな、なんて思いながら
レモンかけた牛タンをまたAの口元に持ってってやると、








「？！？！？！」








口を開けながら涙をポロポロ零してて
零れた涙が口に入っちゃってる。







「なっ、ど、どうした？！」







動揺からせっかくの牛タンをテーブルに落としちゃったけど
それどころじゃなくて。







「泣いてんの…？」


「(ふるふる)」


「いや、泣いてんじゃん」


「(ふるふる)」






問い詰めても首を横に振るばかりで
零れた涙をぐいっと自分の腕で拭った。







「ぎゅーたん……、ちょうだい……。」


「いや、落としたし今…」


「ぎゅーたん……、」







牛タンが食べたすぎて泣いちゃってる子みたいになってるAに
一旦箸を置いて、向かい側から隣の席へと移動した。

様子を伺うように覗き込めば
ポロッとテーブルに涙が落ちた。








「どうした？何があったか俺に話せない？」


「・・・」


「俺察するのとか苦手だからさ
ちゃんと言葉にしてほしんだよな」


「・・・」







Aは割と素直に感情を表に出す子だと思ってたけど
こうして涙を見たことなんてなかったかもしんない。

俺みたいなやつと付き合うなんて
辛いことも悲しいことも、寂しいことも
沢山あったと思うのに。








「じゃあもういっこ牛タン焼いてやるから
その間に話せたら話して」








うまい牛タンの力を借りてAの気持ちを引き出せねぇかな、なんて
結局は他力本願な自分が情けねぇけど。

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