HONEY LOVE １

ネコちゃん ページ16

.




「くしゅんっ」







夜九時。
みっくんが帰ってきて、おかえりを言った瞬間から
私はクシャミが止まらなくなった。

その原因は・・、







「……今日またネコと一緒のお仕事だった？」


「お、正解」


「だよねぇ……、っくしゅん」








みっくんの猫仕事が決まってからというもの
猫と触れ合う機会が増えたみっくんは
猫アレルギーな私にとっては地獄となった。









「ごめん、だいぶ毛はらってきたつもりなんだけどな〜」


「うん、平気なんだけ、…っくしゅん」


「…平気じゃねぇじゃん」








苦笑いしながら
風呂で洗い流してくるわ、ってお風呂場に直行してくれて
私は鼻をすすりながらみっくんから距離を取った。



このお仕事が決まって
私もとってもとっても嬉しいんだけどさ、
アレルギーには勝てないじゃない？


この体の拒否反応にはさすがに勝てない。








.









「ど？平気なった？」






お風呂上がりホカホカみっくんが
タオルを腰に巻いたまま出てきて近付いてくるから
私も体を寄せて、反応を確かめた。








「……うん、大丈夫っ！」


「よし、じゃあくっついてもいい？」


「……くっつく？」


「ちょっと癒してほしいな〜」


「ふふ、疲れたの？」


「んー、ちょっとだけ」








裸のままで正面から包まれて
石鹸の香りと熱いくらいの体温でいっぱいになった。









「ほんとはさ、猫飼いたいんだよな〜」


「え？！」


「やっぱ無理？」


「う、うーん…、」







抱き締められながら顔を覗かれて
クリクリの目が可愛くて、猫なんていなくてもみっくんの方が可愛いのになって思うけど。







「無理だよな〜。
地方とか泊まりだとAに面倒見てもらうしかないしさ」


「……確かにそれは厳しいかも」








最近猫が可愛いってハマってるのが分かるだけに
飼ってほしい気持ちは山々だけども…、








「ま、いっか。
俺には可愛いペットがいるもんな？」


「え？ペット？」






ペットなんて飼ってたっけ、って
みっくんを見上げると
ちゅっ、と唇に落とされたキス。








「俺のペット」


「……私、ペットじゃないけど」


「んふふ、俺にはこのペットだけで手一杯かな」








私といる限りずっとネコは飼えないと思うけど
頑張ってネコみたいに可愛く甘えてあげるから
飼うのはちょっと、我慢してね？









──Fin.

続・猫と狼→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す