はじまる、恋。４

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真っ暗闇な部屋。


私を腕の中に閉じ込めて、爆睡してる北山さんの腕から
そーっと、するりと抜け出した。






忍者のように忍び足で
時折、ギシッと音を立てるフローリングにビクビクしつつも
一歩ずつ、リビングの自分のカバンへと足を進めて

取り出した携帯。









棚の上にあったちっちゃい電気をつけ
フワフワのラグの上に体育座りして
メールを再度開いた。









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”明日、大丈夫です。”









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・・・私、いまどんな気持ちでこのメール送ってるんだろ。



北山さんに愛されたあと
その腕の中をこっそり抜け出して
藤ヶ谷さんと明日会う約束をして。









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ふと目の前にあった鏡に写った自分の顔に、思わず俯いた。








泣きそうな、顔。









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明日、会ったらもう終わりにしよう。



明日だけ、

明日一日だけ。









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きっとまたこの部屋に戻ってきて

今度は、ハンバーグを作ってあげて
おいしいって言ってもらうんだ。

さっき途中で眠くて中断した映画の続きも
絶対にまた一緒に見る。

北山さんの腹筋のお手伝いも
またしてあげる。




そして、

一緒にベットに入って
あっつい、て言いながらもくっつき合って
一緒に眠りにつくの。









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だから、明日だけは
内緒で藤ヶ谷さんと会うこと
許してくださいね・・？









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まだ返事のない携帯を、カバンの奥深くに突っ込んで
定位置へと戻った。









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さっきと変わらない姿勢で寝ている北山さんの唇に
自分の唇をそっと重ね合わせた。









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「すき……、」









何度も何度も、心の中でそう呟いた。


この気持ちを、見失わないように。

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