はじまる、恋。４

１８０ 北山side ページ39

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「さっきすんげぇ阿部ちゃん怒られてたよ？」








リハ終わり、二階堂がそう声をかけてきて








「え、なんで？」


「何か発注がなんたらって聞こえてきたけど」


「でもあいつが怒られてんのは、いつものことじゃね？」


「いや〜結構強めに言われてたから、かなりシュンとしてた」


「……へぇ。」


「ちょっと慰めに行った方がいいんじゃない？」


「は？俺が？」


「俺が？って、あと誰がいんのさ。
ガヤさんに行ってもらう？」


「なんでだよ」


「そういうの上手そうだから、ガヤさんなら」


「………俺が行く。」









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うひひ、って笑ってる二階堂の頭を軽く叩いて
舞台裏の、Aが仕事してそうな所を探し歩いた。







ったく、しょうがねぇなあいつは。

昨日結構おそくまでイチャついてたから、集中力に欠けてんじゃね？




・・だとしたら、俺のせいか。





そんな事を考えてたら、昨日の可愛いAが蘇ってきて
自然と足取りが早くなってた。









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──・・




「あ、A」


「北山さん…、」









案の定、舞台裏の目立たないとこで地道な作業をしてるAを見つけて
さり気なく近くまで歩み寄る。









「また地味な作業してんな〜」


「……ですね……、」









作業してたものを横からひとつ手にしてそう言うと
いつもだったら、またバカにして〜！って言い返してくるのに
ものすんごい大人しい回答が。




本当に超絶落ち込んでんな、って察知。









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「なんだよ、どうした？」


「……別に、何もないです。」


「怒られたんだろ？」


「え？」


「二階堂が見てたらしくてさ」


「そう、だったんですね…。」









大丈夫か？って顔を覗き込むと
瞬きしたら零れるんじゃないかってくらい、涙に濡れた目で見つめられた。









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「……きたやまさん……、」









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耐えきれなかったのか、ポロッと一粒落ちてしまった涙に
もう止める術を知らないそれはポロポロと零れ落ちた。









「そんなにきつく怒られたの？」









周りに見えないように背中をトントンしてやると
下を向いて、尚も泣き続けてて。








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この時の俺は、本当に仕事の失敗で泣いてるだけだと思ってて。





でも、後になってよく考えてみたら
Aの涙はいつも、藤ヶ谷のことを思っての涙ばっかりだった。

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