はじまる、恋。４

１６５ ページ23

「じゃあ焼きますよ？」


「がんばれよ、たっけぇ肉なんだからな」


「プレッシャー半端ない！！」









半ば涙目でそう言うと、笑って楽しそうにしてて
仕方なくコンロに火をつけた。







ガーって、控えめに鳴ってる換気扇の下
異様な緊張感が漂う。






チラッて北山さんを見上げると
ん？って、不意に優しい顔を向けられるから
不意なキュンキュンに慌ててまたお肉と向き合った。









.









.









じゅー。









.









・・・もう、いいかな？







.









.









「よしっ！北山さんっ！お口っ！！」



「えっ？あ、はいっ」









いきなりの私の勢いに驚きながら
あーん、って開けたお口に
自分なりのベストな焼き加減なお肉を放り込んだ。









もぐもぐしてる北山さんと


ハラハラしてる私と。









.









「ん〜…、80点かな」


「び、びみょう…、」


「でもうまいよ、あんがと」


「いえ、どういたしまして…」







お肉の美味しさにご機嫌なのか
頬袋ぷっくりしたままキラキラ笑顔で頭をポンって誉められた。









「じゃあこれ全部焼いちゃって、あっちで食べようぜ」


「全部焼いちゃうんですか？」


「だって残したってしょうがねぇじゃん。
誰かと一緒に食った方がうまいし」


「誰かと…？」


「………Aと一緒に食った方がうまいし？」


「ふふ、私も北山さんと一緒だとよりおいしく感じる気がしますっ！」









何だよそれ、って照れながら
ジュージューお肉をどんどん焼いていく北山さんに
隣でお皿を差し出して。







幸せいっぱい。

胸いっぱい。



.

１６６→←１６４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す