蜜色の一雫

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「井上さん、三番テーブルの人めちゃくちゃイケメンですね！」


「………そう？」


「特にあの茶髪の人かっこいい〜っ」





茶髪の人は北山さんか……。

確かにかっこいいんだよねぇ、
会社でもモテモテなのも知ってるし
話しやすさと程よいチャラさが。





「それで、その茶髪の人が井上さんのこと呼んでましたよ？」


「えっ？」


「暇になったらでいいからちょっと来て、って」


「う、うん……」





あまりにも私が躊躇してるから
元彼さんとかですか？って疑ってくる神田さん。

さっきも北山さんの友達に言われてたけど
このお互いが気まずい感じ、まるで元彼元カノみたいなんだろうな。

どうしよう、行くべきなのか
このまま隠れるべきなのか……、
でも隠れたって明日会社に行けば会っちゃうわけだし……。






「五番お願いします」


「はいっ」





とりあえず他のテーブル(しかも北山さんたちから離れてるテーブル)
の仕事をこなそうとその料理を運んだ帰り、





「お姉さん、トイレの場所聞いていいっすか？」




って、捕らえられてしまった。




「と、トイレはあちらに…っ、」


「分かんないんで、目の前まで」


「…………はい、」




絶対分かってるじゃん、
ちゃんとお手洗いマークも出てるし。

それでも逃げることも出来ないし
覚悟を決めて、案内をすることにした。








「井上さん、だよね？」




お手洗いまでなんてそんな距離もないけど
早々に話しかけられて、私は振り返った。




「…はい、」


「井上Aの双子の妹とかじゃないよね？」


「正真正銘、井上Aです………」




今更もう誤魔化したってしょうがない。

すぐに着いたお手洗いの
店の中からは死角になってる通路。

そこに二人で立ち止まると
まじまじと私のことを見られて恥ずかしくなってきた。

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