蜜色の一雫

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「あの、散らかってるんですけどっ」


「いいから、気にするなって」





結局部屋に来てしまった。

別に悪いことをしてる訳では無いけれど
周りの目を気にしつつ。

部屋に入って、その辺に散らかってる雑誌やらを片付けようとすると
それを制止するように腕をまた掴まれた。





「とりあえず体温計ある？」


「確かそこの棚に…」


「よし、じゃあ持ってくるから座ってて」





ソファに無理やりに座らせられて
戸棚に取りに行ってくれるから、まるで北山さん家にきたみたい。





「測れる？手伝おうか？」


「だ、大丈夫ですっ///」




首元から体温計を入れてくれようとするから
慌ててその手から体温計を奪い取った。





「んふふ、ごめんごめん。冗談」





こういう冗談に私もいちいち反応しちゃうから
ますます熱も上がるんじゃなかろうか……。






ピピピピ…、





そんな事を考えながらも熱を測り終えると
北山さんもそれを覗き込んできて
そこに表示されてた数字に二人で目を丸くした。





「39.5度？！」


「やば……、」




想像以上に高かった体温に
なんだかますますクラクラしてきた。





「おまっ、こんな体温初めて見たぞ？！」


「そうですか？
私割と疲れ溜まったりするとこれくらい……、



と、ここまで言いかけてハッと口を抑えた。

これじゃあ今疲れが溜まってるって言ってるようなもんじゃん……。







「………とりあえず寝室どこ？」


「あっちです……」


「横になろ、支えるから」





私が失言したのを察したのか
腰元を支えてくれながら、寝室まで連れていかれた。





「………、」




でも、なんだかいつも旦那と寝てるはずの寝室に
北山さんと一緒にいるってだけで、ムズムズしてくるんだけども。





「あ、ていうか着替えなきゃだよな？」





ここでも、手伝おうか？とか冗談を言われるかと思ったけど
さすがにあの熱の高さを見てからだからか
ここで着替えるという私に
"着替えたら教えて"って大人しく部屋を出て行ってくれた。

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