はじまる、恋。

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あれから北山さんを振り切って走り去って
心を落ち着かせたものの、何度も頭の中でリピートされる
あの射抜くような視線と、声。





リピートされるたびに、ふるふると頭をふってかき消す。



"本気だったらいいのかよ" なんて
"本気" になる事すらないくせに。



そんな適当な言葉でかき乱さないでほしい。









「もうっ！北山さんなんて知らないっ！」


「なんで？」


「うわぁぁっ！！」








ぬっと、急に現れた二階堂さんに思わず大声出して尻もちつくと
何やってんだよ、って冷ややかな目で見られる。









「急に現れないでくださいよー！
ビックリするじゃないですかっ！」


「だってなんか一人でぶつぶつ言って、完全に自分の世界に入り込んでんだもん」









・・確かに。

一人で思い出してはぶつぶつ言って、頭ふりふりしてたなぁ、って思って反論できず。









「みつと何かあったの？」


「え？」


「今日の夜一緒に食べよーって誘ってこい、ってみつがわざわざ俺に頼んできたし、阿部ちゃんもさっき北山さんなんか知らないって言ってたし」


「ん〜…、や、別に何かあったわけではないんですけど…、」


「じゃあ今日来る？」


「……はい。」


「うしっ！じゃあ今日終わったらみつの部屋まで来てよ！」









そしてまた忙しなく去っていく二階堂さん。









私が意識しすぎなのかな？



あんな冗談、笑って適当に返せばいいんだろうけど・・



そんな器用な技、私は持ち合わせてないんだもん。

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