はじまる、恋。

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"ふたりっきりのとき"

なんて別に特別な意味ではないよね。




ただ周りに他のスタッフさんとかがいない時にってことだよね。








・・いや、でもそんなふたりっきりで腕の血管触らせてもらうとかおかしい気もするけど・・？









「あぁ〜…、」







だめだ。

お腹いたくて、頭が働かない。









.








.









「んしょっと」





相変わらず雑用ばっかりな仕事をこなしていて
合間にキスマイさんのダンスリハなどを見たり。









「阿部、これ片しといて」


「はーい！」








なんの機材かはよく分からないけど、何個かあるものを片付けろとの指示で取りかかる。



どんどんとお腹がギューっと締め付けられるように痛くなってきて、必死にバタバタと気を紛らわして走り回っていた。









「Aちゃん」


「藤ヶ谷さん、お疲れ様ですっ」


「お疲れ様、会うの１日ぶりだね」


「ですね！昨日は他のお仕事だったんですか？」


「そう、7人でロケしてた」


「いいなぁ〜楽しそうっ！」


「ん〜、まぁ確かにみんなでロケは結構楽しいよ」









廊下を歩きながらそんな話をしていて
私もロケのスタッフとかやってみたいな〜、なんて言っていたら
ひょこっと、顔を突然覗きこまれた。









「何か具合悪い？」


「えっ？」


「顔色悪いし、何か元気ない気がしてさ」









具合悪い素振りを見せたつもりもないし、誰にも気づかれなかったのに
藤ヶ谷さんにそう言われて、おでこを触られる。









「ん〜？熱はないみたい？」


「ちょ、ちょっと寝不足でっ！//」


「あれ？でも何か顔も赤くない？」









顔が赤いのは、藤ヶ谷さんがおでこに触れたからだし
そんなに近付かれると、本当に熱まで出てきそうなんですけど。









「ほ、ほんとに大丈夫ですっ！」


「そう？無理しないでね？」


「はいっ！」









本当に、北山さんといい藤ヶ谷さんといい
さすがはアイドルで、やばい。



何気なくやってる行動がもう私にとっては
ひとつひとつが大事件すぎる。

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