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「先輩、緊張してきちゃいました…」
「そんな緊張するほどの仕事、お前には任せてないけどな?」
「私にとっては大きいですもん」
本番まであとわずか
もう客席も埋まってきて、どんどん賑やかになる会場と共に
私の緊張感も高まってくる。
「あの、ちょっと抜けてもいいですか?すぐ戻るので…」
「どこに行くんだよ」
「ちょ、ちょっとそこまで…?」
もうやることはやりつくして、あとは始まるのを待つだけの中
そう先輩に恐る恐る聞くと
なにかを見抜いたようにニヤリとした先輩に
早目に戻ってこいよ、って背中を押された。
.
.
「藤ヶ谷さんっ!!」
「あ、Aちゃん」
抜け出して駆けつけた場所はここ。
藤ヶ谷さんの楽屋、の近くの通路での待ち伏せ。
どうしても
本番前に会っておきたかった。
本番前に会いに来られても迷惑なだけかもしれないけど
いてもたってもいられなくて。
これから、"みんなの藤ヶ谷さん"になる前に
少しでも、藤ヶ谷さんを感じたかった。
「今日全然、Aちゃんのこと見かけなかったらどうしたのかと思ったよ」
「色々バタバタしてて会えなかったんで、ちょっとだけ抜け出してきちゃいました」
もう衣装も髪型も完璧な藤ヶ谷さんが
わざわざ私を見て足を止めてくださったことで
なぜだかそう素直に伝えることができて、
「すげー嬉しい、ありがと」
とびっきりの笑顔で答えてくれる。
「頑張ってくださいね!余裕があったら見てますから!」
「いやー多分Aちゃんのことだから、余裕はなさそう」
「そんなことないですよー!
・・・たぶん。」
「はは、多分かい」
走ってきたことで、少し乱れてたのであろう私の髪を整えてくれながら
さりげなく触れてくるその指に、また熱を帯び始める。
「行ってくるね」
「はい!行ってらっしゃい…っ!!」
甘い視線を残したまま
指が離れる瞬間に、頭をポンポン二回してくれて
スタンバイへと向かう藤ヶ谷さんの背に
両手でガッツポーズをして見送っていると、
ひょこっと、楽屋から顔を出してきた北山さん。
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はちみつ(プロフ) - 梓さん» お話読んでくださってありがとうございます。ご指摘されましたところ、全て訂正いたしました^^* (2018年10月8日 8時) (レス) id: 110603a9b6 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした(>_<) (2018年10月8日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - またまた続けてのコメントですみません。 物語読んでいて思ったのですが...。 34のここの台詞 「反則やん、あれは…っ」 主人公ちゃんって関西出身の設定なんですか? (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - また続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 24のここの台詞 だって阿部ちゃんは、他に仲良さそうに人もいないし 地方まで来て、一人でご飯食べるなんて寂しいじゃん? これ正しくは他に仲よさそうな人もではないんでしょうか? (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - 続けてのコメントですみません(>_<) これ棚じゃなくて椅子とか段差ではないんでしょうか? 低い棚ってなんですか? 聞いたことないのですが...。 (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2017年7月28日 22時