キミトノキセキ

１０ ページ10

バイトを辞めさせられてから
家から一歩も外へ出ることは許されず、ほぼ監
禁状態。





左の瞼の打ち所が悪くて腫れてしまっていて
冷静になってからそれを見た渉は、さすがに動揺していた。




優しく撫でてくれて、氷で冷やしてくれて。






・・そう、
冷静になるといつも渉は優しい。


だからなかなか踏ん切りがつかない。









.









そんな中、渉がお風呂に入っている間に部屋のインターホンが鳴って
出てみれば、みっくんの声とその姿。







何でここにいるのか、そんな事を考える暇もなく
ちょうどお風呂から上がった渉が
私の頭上から手を伸ばし
インターホンを切っていた。









「なに、勝手に出てんの？」


「ごめん…っ、宅急便とかだと思って…」


「勝手なことするな、って言ってんじゃん」







低く、見下ろされながらそう言われる。


いつものパターンだ。









━また叩かれる…っ、





そう思って目を瞑った瞬間に
また静かな部屋へ鳴り響くインターホンの音に
渉の手が止まった。









.







「……ちょっと行ってくるから、ここで大人しく待ってて」







ガチャンと鍵をかけられて、外へと出ていく渉に
一気に力が抜けてその場に座り込んでしまう。









.







「…みっくん…っ、」









震えるその手を自分で握りしめて
その名前を思わず口に出していた。



昨日まで聞いていたはずのその声も
なぜか懐かしく感じて
インターホン越しの声だけでも、一気に心が温かくなった。





でも、
なんでここまで・・？






出ていったドアを見つめながら
また不安ばかりがつのっていく。

１１→←９ みっくんside

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す