キミトノキセキ

６ ページ6

「俺さー、昔たぶんAのこと好きだったんだよなー」


「っえっ？！」







もう帰るか、って時に言われたそのいきなりの爆弾発言。








「いつもメソメソしてコソコソ藤ヶ谷の後ろに隠れてるA見てさ、
俺が守ってやりたいって子供ながらに思ったんだよな〜」







・・なにそれ、初耳なんだけど。


全然そんな素振りみせたことなかったのに・・







驚いて言葉も出ない私を見かねて
いつもの豪快な笑顔を見せる。








「っふ、昔の話だっつーの！
別に人妻を誘惑しようだなんて思ってねーよっ！」


「そ、そうだよね…っ！
ビックリした…、」


「今の俺は色っぽい子がタイプだからさ」


「…何よその、私が色気がないみたいな言い方…っ！！」





もー！！って怒ると
怒るなよーって頭をポンポンされて



「…//」




思わず黙る私と
それに気付いて、ごめんって咄嗟に手を退けるみっくん。








「……」


「……」









こ、この気まずい沈黙…っ、









「さ！そろそろ帰るか！
旦那帰ってくるんじゃねぇの？」


「…っあ、うん！だね！」






そそくさと立ち上がり、みっくんにご馳走になって
そのまま店を出た。









.









「今日はありがとな、お陰でいいもん選べた」


「こちらこそ、ご馳走してもらっちゃってありがと」


「おう、じゃあまたオムライス食いに行くから」


「待ってるね♪」








手を振り、改札へと消えていくみっくんの背中を見つめる。








.









"Aのこと、好きだった"






この言葉がさっきからずっと頭の中でリピートされてる。




"私も好きだった"



この言葉を伝えたかったけど
今さら伝えてもどうにもならない。









ギュッと目を閉じて、気持ちを心の奥底にしまいこむ。




よし！と気合いを入れて
自分の家へと足早に向かった。

７→←５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す