キミトノキセキ

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あれから順調に回復して、なんとか歩けるまでになった頃に
きちんと話し合いをするためにも
警察へと渉に会いに向かった。







お兄ちゃんやお父さんには
会わずに離婚だけしてもらえ、って言われたけど
きちんと話しておきたかった。




ひどいことはされてたけど
それでもやっぱり、一度は好きになって結婚した人だから。





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「A…、」




透明なガラスの向こう側、やつれた様子の渉がそこに座っていた。





「Aっ、ごめん…っ！
ケガ…大丈夫かっ？！」




前みたいに、本当に心配してくれるその姿。


大丈夫、って笑顔を見せると
安心したように座り込むと







「……」









お互い、どうしたらいいのか分からず沈黙が流れる。









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「別れ…、言いに来たの？」







その沈黙を破ったのは渉で、ふと顔を見上げると
今までに見たこともない悲しそうな顔に
チクンと、胸が締め付けられる。









「私たち、一緒にいればいるほどきっとダメになる。
二人でいると、マイナスしかうまれないの…」









きっとお互い、寂しくて寂しくて
依存しあって生活をして
辛くても抜け出すこともできずに
無限ループのように同じことの繰り返し。









「別れよう…？わたしたち…、」







「…ごめんな、幸せにしてやれなくて…っ、」









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そんなことない。

ちゃんと幸せな瞬間だってあったよ？



料理を教えてもらって、一緒に作ったり

好きな映画を一緒に見たり

寝る前には必ず髪を撫でてくれるところも。









好き、って気持ちの表現が狂っていただけで
愛されて幸せだったっていう気持ちはきちんとある。




でも、それを言葉にして伝えてしまったら
渉にも未練が残ってしまう気がして
そっと胸の奥にしまい込んで、笑顔を見せた。









「お互い、幸せになろうね」









こくん、と頷く渉の目には涙が滲んでいた。









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渉、今までありがとう。

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