キミトノキセキ

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━A、A・・・









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遠くのほうで、私の名前を呼ぶ声がする。








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━今度こそ、俺が守ってやるから。









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「Aっ？！」






目を覚ますとそこは、真っ白な天井が広がっていて
辺りを見渡すと
お兄ちゃん、お兄ちゃんの奥さん、お父さん

そして
みっくんが心配そうにベッド脇に立っていた。









「大丈夫かっ？！」


「ちょっと待って、先生呼んでくるっ！」







バタバタとしてる周りに、心配をかけまいと起き上がろうとするも
体に全く力がはいらない。









「みんな…、なんで…？」



「なんでって…、」









その質問にみんなが、苦い顔を見せるから状況を思い出す。






そっか。

渉に暴力うけて、みっくんに電話したんだっけ。







・・そうだ、渉、

渉がいない。









「渉は…？」


「いま、警察署で事情聴取うけてる」






お兄ちゃんが、泣きそうになりながらそう言ってしゃがみこんだ。









「A、なんで俺に相談しなかったの？」


「ごめん…、心配かけたくなくて…」


「心配かけてこそ家族だろ…っ？」









"かぞく"



その言葉に、胸が熱くなった。

例え、遠くで新しい家族が出来ても
今でもちゃんとこうして心配してくれるんだ。









「藤ヶ谷に連絡したら、荷物もなんも持たずに速攻で飛行機乗ってきたんだぞ」






やめろよ、ってみっくんの肩を叩いて照れくさそうにするお兄ちゃん。








「父さんだって、仕事飛び出してきちゃったんだぞ〜？！」





負けじと、俺だって心配して速攻で来たんだぞアピールするお父さんに
みんなが笑顔になる。






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良かった。

みっくんの言ってた通り
私はずっと、ひとりじゃなかったんだね。









「例え離れようが、他に家族が出来ようが
Aはずっと、家族なんだから。
"ひとり"だなんて思うな？」








そのお兄ちゃんの一言に
今までとは違う、嬉しい涙が頬をつたった。

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