キミトノキセキ

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━ピンポーン








日も暮れた頃、鳴り響くインターホン。


キッチンに立っていた渉が、その音に反応して
ソファーに座っていた私の頭をポン、として
玄関へと向かった。









・・来た、のかな・・。







ドクドクと鼓動が早くなってくる。





あ〜、やばい
緊張で吐きそう。







洗面所で、傷を隠すためにつけた眼帯を直して
ふぅー、っと心を落ち着かせる。








大丈夫、
きっと渉がうまくやってくれる。




みっくんには心配をかけずに
もうきっとこれでさよなら。









.









ガチャンと玄関の音が再びして
A、って渉に呼ばれる。









パンっと、頬を叩いて笑顔を作る。

私の精一杯の笑顔。









.









「A…、」





玄関へ行くと、渉とみっくんの姿。



私を見るなり、早速に目元の眼帯に驚いているようだった。









「みっくん、わざわざ来てもらっちゃってごめんね」


「いや…、
ってか、その目どうした…？」








不安げに揺れるそのみっくんの瞳に
必死に平静を装う。









「あ、これ？
ものもらいになっちゃって、病院行ってつけられたの」


「ものもらい…？」


「うん、めっちゃ病院怖かった〜」









あは、って笑う笑顔、ひきつってないかな？
ちゃんとうまく笑えてるかな？



不安でいっぱいな心で、みっくんの次の言葉を待っていると








「体調悪くて、免疫力が弱ってるらしくてね？
だからものもらいにもなっちゃってね？」







笑顔で私の髪を撫でながらそう口を挟む渉に
うん、って同意して渉を見上げた。



なるべくみっくんとは目を合わせないように。









「そっか…、お大事にな」









そしてそのまま
大丈夫そうだよって藤ヶ谷にも伝えておくよ、って目を細めて笑うみっくん。









ちくん、と痛むこの胸。




嘘をついてる罪悪感と、





ちょっとだけ・・
この状況に、気付いてほしいって気持ちがあったから。

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