嘘つきなキス

４９ 北山side ページ49

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つか、Aも玉も繋がらねぇし。



Aに限って玉森となにかあるなんて
少しも思ってはいなかったけど
それでも何となくイライラしてしまう。



「マジでどこ行った、あいつらっ」



この大事な時に。

つか、俺は何に対して苛立ってんだ……？




「あああ、もう、玉森のアホっ！！」



その時、桜井さんからメールが入ってきた。



〖分かってるとは思うが、身辺整理はきちんとしとけ。上手く行けばメジャーデビューだって 夢じゃないんだからな〗




「メジャーデビューか………」




とっくの昔に諦めた夢。




でもこのまま朽ちたくないって
俺はまだどこかでずっと夢を捨てきれていなかったんだろうか。



それを誤魔化すように酒を飲んで、煙草をふかし、とっかえひっかえ女を抱いて、自堕落な生活を送って。



今の現実を全部他人のせいにして
自分を溺愛して
グダグダ グダグダ言い訳ばかりして。



とっくに孵化してしまった自分は
あとは朽ちてくだけだって絶望してたけど、




「まだ蛹だって思いてぇな……」





弱さを認めて
再び窮屈な世界を壊すために。





こんな風に思えるようになったのはきっと
きっとAに出会ったから。



俺の空気清浄機が新たな空気を運んできたから。



もう一度生まれ変われるような気がした。



仮にまた夢が叶わなかったとしても
この先腐らず歩いていける気がした。




Aと一緒なら。






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この時の俺は、桜井さんに言われなくとも
他の女と適当に遊ぶのは止めて
本気でAと向き合おうと考えていた。





「つか、A、電話出ろ、ばかっ」



「玉森〜！」









玉森の気持ちを聞くまでは──────。

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