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「えっと……あの、玉森さん……私はっ」



私は、

私は………



「あー!やべっ、遅刻する!Aは?
Aは平気なの?」


「ぎゃあ!平気じゃないですっ!」


「じゃあ、先シャワー浴びて!早く!タオル洗面所にあるからっ」


「は、はいっ!」




そこからの私たちはバタバタで。
化粧もそこそこに急いで家を出て全速力で駅へと走る。



「玉森さんっ、私のことなど構わずに
先に、先に行ってくだされ〜」


「時代劇ごっこしてる場合か、アホ」



ゼーゼーと息を切らしたまま何とか電車に飛び乗り、ほっとひと息つく。




「A、どこ?」


「神保町です」


「近いじゃん」


「ほんとですか?」


「うん、仕事帰りにデートできんな」


「え、バンドの練習してください」


「やだよ」



素直じゃないなぁって思う。


本当はすごく音楽が好きなんじゃないかなって思うのに。
適当に、いい加減に、続けられるもんじゃないと思う、音楽って。




「あー…、やべぇ」



突然、携帯を開いてため息をつく玉森さん。



「どうかしました?」


「ミツから着信15件入ってる」


「ええっ」



私の倍以上。
ちょっと羨ましい。って違うか。




「Aのこと心配だったんかな」


「違いますよ。きっと、ほら、すごい知らせってやつかも」


「あー、そうか、そうかも」




あっさり肯定されて複雑な気分。





「まぁいいや、あとでかけ直そ」


「玉森さん、ほんとにほんとにバンド辞めないで下さいね」


「それはA次第だな」


「そういうことは人で決めちゃダメです」


「俺は人で決めんの」


「またそういうこと言う……」


「そーんなことより、Aは自分の心配した方がいいんじゃない?」


「え?」


「まぁそうなったら、俺が責任取りますけどー」




まさかまさか、この玉森さんの冗談が冗談じゃなくなる日が来るなんて今の私は全く信じていなかった。

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くまのこ(プロフ) - だいぶ出遅れました…はちみつさんとはちみつさんの書くお話が大好きです!終わらせずに受け継いでくださったことを感謝致します!他のお話楽しみにしてます〜!はちみつさん好き!!!! (2020年1月15日 11時) (レス) id: 9fffa79d91 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はちみつさん!!全然気にならさらないでくださいーーー!!はちみつさんが書かれるお話は何でも大好きなので!!!←声を大にして笑!わざわざメッセージありがとうございます!!これからもコメントいっぱいさせていただきますっ!笑←迷惑な奴(笑) (2019年12月28日 18時) (レス) id: 773bebed2a (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お疲れ様です。こちらは楽しく読ませてもらってるので書かれるのは大変だと思います。 (2019年12月28日 17時) (レス) id: 3a1ba1b625 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - なんと!!!消してしまうんですか!?えーん…このお話も、好きなのに残念です(T▽T) (2019年12月28日 16時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - あら残念(^_^;)途中きっとこの北山さんは主を好きになるのかなと期待をしていたのですが(^_^;)作者様の意向ですから仕方のないことです(^_^)キラハグ、恋愛注意報は楽しみにしています!今年も沢山楽しませてもらいました(^^)良いお年を! (2019年12月28日 12時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2019年10月2日 19時

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