42 玉森side ページ42
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「A」
とっくに
心配そうに何度も携帯をタップしてるAを見つけた。
「玉森さんっ、あの、ひろは……?」
「携帯、家においてきちゃったんだって。
で、用事があるからって先に帰るって伝えといてって伝言頼まれた」
「そ、そうなんですね」
途端にほっとしたような顔になるAに
彼女もいつ捨てられるか毎回不安なんだろうな、と少し同情した。
「打ち上げおいでよ。どうせこのまま帰っても不安でしょ?
もしかしたらミツもすごい知らせ持って戻ってくるかもしれないしさ」
「すごい知らせ?」
それには答えず、Aの手を取って歩き出す。
「玉森さんっ、あの、あのっ、手を」
離して下さい───って小さな声で言われたけど、聞こえないふりをした。
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不思議な子だな、と思う。
俺が知ってる今までのミツは俺と同様、
女の子に対して、もっとドライで、もっと適当だった。
なのに、今回に限って、こんなに長く一人の女の子に執着してるなんて。
それだけでもAのことが特別な存在に思えてくる。
俺に落ちない女だしな。
公園で介抱されたあの夜以外も
ミツの目を盗んでちょっかいかけたりしてるのに
全くなびかない。
というより気づいて貰えてないって言う方が正しいけど。
もうちょっと本気出そうかなぁ。
他人のモノを取りたくなるのは自分の悪い癖だと分かってても止められない。
だってつまんないんだもん。
誰と付き合っても、何をしてても。
すぐ飽きちゃうし、どうでもよくなっちゃうから。
多分生まれた時から
俺の心は欠陥品なんだろう。
唯一、音楽だけは何となく惰性で続けてるけど
それだって別にすごくやりたいって思ってる続けてるわけじゃない。
ただ、ミツや、宮田や、ニカが、こんな俺でも受け入れてくれてるから
そのお返しにって気持ちで演奏してるだけで。
ミツと俺は似た者同士だとずっと思ってきたけど
もしかして違うのかなって思ったら、何だか急に寂しくなって、Aの手をぎゅっと握りしめた。
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くまのこ(プロフ) - だいぶ出遅れました…はちみつさんとはちみつさんの書くお話が大好きです!終わらせずに受け継いでくださったことを感謝致します!他のお話楽しみにしてます〜!はちみつさん好き!!!! (2020年1月15日 11時) (レス) id: 9fffa79d91 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はちみつさん!!全然気にならさらないでくださいーーー!!はちみつさんが書かれるお話は何でも大好きなので!!!←声を大にして笑!わざわざメッセージありがとうございます!!これからもコメントいっぱいさせていただきますっ!笑←迷惑な奴(笑) (2019年12月28日 18時) (レス) id: 773bebed2a (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お疲れ様です。こちらは楽しく読ませてもらってるので書かれるのは大変だと思います。 (2019年12月28日 17時) (レス) id: 3a1ba1b625 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - なんと!!!消してしまうんですか!?えーん…このお話も、好きなのに残念です(T▽T) (2019年12月28日 16時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - あら残念(^_^;)途中きっとこの北山さんは主を好きになるのかなと期待をしていたのですが(^_^;)作者様の意向ですから仕方のないことです(^_^)キラハグ、恋愛注意報は楽しみにしています!今年も沢山楽しませてもらいました(^^)良いお年を! (2019年12月28日 12時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2019年10月2日 19時