33 横尾side ページ33
.
「んー、これも、これも頼みたいな、
ああ、これもいいな」
「相変わらずちっさいのに欲張りなんだからミツは」
「うるせ」
昔に戻ったかのように
軽口を叩き合って笑い合う。
まるでバンドの打ち上げの時みたいに。
.
そして、互いに仕事の近況報告なんかしながら
いい感じにほろ酔いになってきた頃
俺はもう一つの話題に触れてみた。
「あとさ、ミツ、」
「んー?」
「純朴そうな、真面目そうな子には手ぇ出しちゃダメだって。
あとで絶対めんどくさいことになるから」
「……それ、酒ぶちまけた子のこと言ってる?」
「そうだよ」
「だよな〜」
珍しく素直に頷くミツ。
「なんかあの子、空気清浄機みたいでさ」
「空気清浄機?」
「そ、一緒にいると癒されるっつうか、日々のストレスとか、疲れとか、すーって消えてくの」
不思議な子なんだよなぁ、って笑ってビールをあおる。
「だけどっ、」
「ん、分かってるって」
ちゃんとすっから、っていうミツの言葉を
俺は信じることにした。
あの子は、ダメだ。
それは確信だった。
.
.
「そういや、藤ヶ谷たちは元気?」
唐突にミツに訊かれ、
「うん、元気でやってるよ」
俺は平静を装って、頷く。
「仲良くやってんの?」
「ああ、まぁ、うん」
「そっか…、なら良かった」
ほんとのことは言えなかった。
あれだけの騒動を起こして
ミツを傷つけて出て行った二人が
4年経った今、もう一緒にはいないなんて知ったら
ミツはまた更にに傷つくと思ったから。
あの時は若かったんだと言われれば
そうなのかもしれない。
若くて、青くて、身勝手で、熱かった俺たち。
だけど、
だからこそ
あの頃の俺たちはめちゃくちゃ輝いてた。
恐れもなく、一生懸命で
ただ前を向いて走ってたからこそ。
『行くぞっ!!』
『おうっ!!』
重なる手
幕が開く。
輝かしいステージで違う音色を響かせる
ミツと太輔の音が響き
それに歌姫の声が重なり
身体が勝手に震え出す瞬間の感動と興奮は
今でも昨日のことのように覚えてる────。
1304人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまのこ(プロフ) - だいぶ出遅れました…はちみつさんとはちみつさんの書くお話が大好きです!終わらせずに受け継いでくださったことを感謝致します!他のお話楽しみにしてます〜!はちみつさん好き!!!! (2020年1月15日 11時) (レス) id: 9fffa79d91 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はちみつさん!!全然気にならさらないでくださいーーー!!はちみつさんが書かれるお話は何でも大好きなので!!!←声を大にして笑!わざわざメッセージありがとうございます!!これからもコメントいっぱいさせていただきますっ!笑←迷惑な奴(笑) (2019年12月28日 18時) (レス) id: 773bebed2a (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お疲れ様です。こちらは楽しく読ませてもらってるので書かれるのは大変だと思います。 (2019年12月28日 17時) (レス) id: 3a1ba1b625 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - なんと!!!消してしまうんですか!?えーん…このお話も、好きなのに残念です(T▽T) (2019年12月28日 16時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - あら残念(^_^;)途中きっとこの北山さんは主を好きになるのかなと期待をしていたのですが(^_^;)作者様の意向ですから仕方のないことです(^_^)キラハグ、恋愛注意報は楽しみにしています!今年も沢山楽しませてもらいました(^^)良いお年を! (2019年12月28日 12時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2019年10月2日 19時