嘘つきなキス

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玉森さん達との打ち上げから一週間後。

ライブ会場にやってくると
相変わらずの盛り上がり。

後ろの方で見ていると逆に目立つということが判明したし
今日はもう少しだけ前に出て
溢れかえってるファンの子達のせめて後ろにとくっついた。





だけど、








「ぜんっぜん見えない」









すぐ目の前には人がごった返してるし
結局は後ろのいつもの定位置の方が
人も少なく、一段高くなっていて一番見やすい気がして、気づけばそこに戻っていた。


やっぱり凄くかっこいいな。

今までは正直ひろのことしか目に入ってなかったけど
打ち上げに参加してから、周りも見ると
玉森さん達もめちゃくちゃかっこいいことに気づく。

特に人気を二分してるのは
ひろと玉森さん？







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「ありがとうございました〜！」








そうこうしてメンバー達に見惚れている間に
いつの間にか終わっていたライブ。

ステージからはけていくひろ達と
名残惜しそうなファンの子たち。

よく聞くと

抱いて〜、とか、ひろ受け取って〜、とかの声が聞こえて
私はもうひろには選ばれないのかなぁ、と
想いを声には出せないまま
去っていく姿を名残惜しく見送る。









「あっ、この間のっ」







早いもので早速出待ちなのか選ばれる為なのか会場をあとにする女の子達の流れの中で
後ろから声をかけられた。








「あ、こんばんはっ」







振り向くと前にぶつかってしまった店員さんらしく
この間はすみませんでした、と頭を下げられるから
慌ててこっちも頭を下げて謝り合う。









「本当にお怪我はありませんでしたか？」


「全然全然！
私の方こそぼーっとしててご迷惑おかけしちゃってすみませんでした」


「いえいえそんな！
でも……、分かりますよ。皆かっこいいですからね…… 」









そう言うその店員さんもよく見れば
背が高くて、すらっとして手足が長くて、黒服が似合っていて、よく見ればとってもイケメンで。

あの時はテンパってて全く気づかなかったけど、こんなイケメンに派手に体当たりしちゃったんだ私、と今更ながら恐縮する。









「ちなみに……、誰のファンですか？」


「北山さん、です」


正直に答えると、イケメン店員さんの雰囲気が急にがらっと変わって


「あまり深追いしないようにね。
バンドマンとは割り切って遊ぶだけにしないと。
君は純粋でいい子そうなのに、分かってないみたいだから忠告するよ」

口調まで変わっていた。

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