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「Aちゃーん」
「Aー」
「おーい、こら、A」
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布団を頭まですっぽり被って出てこない私のことを
呼び方を変えて何度も呼ぶひろ
「だから、あれ、洩らしたんじゃねぇから」
「うーーー」
「俺は嬉しかったよ?」
そんな風に優しく言われても
あんなにもシーツを濡らした恥ずかしさは全然消えない。
洩らしたのと一緒だよあんなの。
「おーい、いい加減出てこないともうキスしてやんねぇぞ」
「やだっ」
「ぬはは、出てきた出てきた」
「あっ」
恥ずかしくて思わず顔を覆おうとした手首を掴まれた瞬間
そっと重なる唇。
綿菓子みたいに甘い、柔らかなキス。
擽ったくて、気持ちよくて、ずっとしていたいなって思っていたら
そのままふわりと押し倒されて、深くなる口付け。
「んっ、んんっ……」
ひろの舌がぬるりと口内に入り込んでくると、それだけでぼーっとしちゃって、頭も身体も痺れていく。
「ハァ…Aって、なんかすっげぇ中毒性ある」
「ちゅーどく、せい?」
「そっ。マジでやばい」
それって飽きないって、こと?
まだまだ私と会ってくれるって、こと?
「ひろだって…私のちゅーどくだよ?」
そう言えば、ふっと笑ったひろがベッドヘッドのスイッチで再び部屋の明かりを消した。
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それからというもの、ひろのライブが終わった後は、ひろに用事がない限り、私たちは夜を共に過ごすようになった。
一緒に打ち上げに出てからの時もあれば
ライブ後、すぐホテルに行く時もあって
それはいつもひろの気分次第だった。
バンドメンバーの宮田さんや二階堂さんからはいつの間にかひろの彼女扱いされるようになっていて。
でも玉森さんだけは、私のことをひろの○フレの子っていう言い方をして
その通りだから、言われることは不快じゃなかったけど
ただ一つだけ、
「A、彼氏いないんだから、たまには俺とデートくらい良くない?」
にこにこしながら
ひろの前でも平然とデートに誘ってくるところが
玉森さんの困ると言えば、困るところだった。
女に不自由なんかしてなさそうなのに。
まぁ、それを言ったらひろもだけど。
この時はまだ、玉森さんが私を構う理由が
全く分かってなかった。
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くまのこ(プロフ) - だいぶ出遅れました…はちみつさんとはちみつさんの書くお話が大好きです!終わらせずに受け継いでくださったことを感謝致します!他のお話楽しみにしてます〜!はちみつさん好き!!!! (2020年1月15日 11時) (レス) id: 9fffa79d91 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はちみつさん!!全然気にならさらないでくださいーーー!!はちみつさんが書かれるお話は何でも大好きなので!!!←声を大にして笑!わざわざメッセージありがとうございます!!これからもコメントいっぱいさせていただきますっ!笑←迷惑な奴(笑) (2019年12月28日 18時) (レス) id: 773bebed2a (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お疲れ様です。こちらは楽しく読ませてもらってるので書かれるのは大変だと思います。 (2019年12月28日 17時) (レス) id: 3a1ba1b625 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - なんと!!!消してしまうんですか!?えーん…このお話も、好きなのに残念です(T▽T) (2019年12月28日 16時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - あら残念(^_^;)途中きっとこの北山さんは主を好きになるのかなと期待をしていたのですが(^_^;)作者様の意向ですから仕方のないことです(^_^)キラハグ、恋愛注意報は楽しみにしています!今年も沢山楽しませてもらいました(^^)良いお年を! (2019年12月28日 12時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2019年10月2日 19時