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「所詮おみくじなんて遊びだから」
「さっき良く当たるって言いませんでした?」
「ほら、A昨年は大凶だったろ?
上がってるじゃん、今年は上がるんだよ」
大凶って失礼な。
「でも思ったより元気そうでほっとしたわ」
玉森さんに頭をぽんって撫でられて、
ああ、玉森さんはきっと全部知ってるんだろうな、って思った。
「ミツのこと……恨んでる?」
玉森さんに訊かれて首を横に振る。
「ひろは何も悪いことはしてません。勝手に私が舞い上がって期待して、傷ついてるだけですから。でもっ、大丈夫、大丈夫です。ちゃんと神様にお願いしたんで。忘れるようにってお願いしたんでっ………あれ、やだ、なんでっ?!」
言ってるうちに勝手にポロポロとこぼれ落ちてくる涙を慌てて拭う。
「あのっ、これはですね、なんか勝手にっ………て、え?!?!」
え?
だ、抱きしめられてる?!?!
「た、玉森さんっ?!あのっ、ちょっとっ!」
「あんまうぶな反応しないでくれる?
すげぇ目立って恥ずかしいから」
なら離してくれたらいいのでは。
そう言おうとしたら逆にもっとギュッとされて。
「…………玉森さん?」
甘く良い匂いと
細身に見えて意外と筋肉質な身体にドキドキしてるのを悟られたくなくて必死で心を落ち着かせる。
「神社で不謹慎ですよっ」
「いや、さっき断り入れといたから大丈夫」
「絶対嘘ですよね」
それでもいつの間にか涙は止まっていたから
鼻をすすりながら顔を上げた。
「すみません、取り乱して」
「俺が前に言ったこと覚えてる?」
「前?」
「そ、俺真面目にAに告白したし、責任取るって言ったじゃん」
「…………」
「と言っても、今すぐそんな気持ちになれないと思うから、とりあえず友だちとして付き合って。
好きにさせる自信はあるから」
「すごい自信ですね」
「まぁ本気になった俺を見てなさいって」
言葉とは裏腹に柔らかく笑って
私の頬に触れる玉森さんの手はじーんとしてしまう程温かかった。
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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2020年1月9日 18時