嘘つきなキス２ (ページ21)

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"KISS"のＭＶの再生回数は日に日に伸びて
インディーズバンドでありながらその勢いと音楽性は様々な音楽雑誌や深夜の音楽番組にも取り上げられるようになり
７都市のライブハウスツアーも急遽追加公演を行いながら無事に終了した。

ひろ、凄いね、ほんとにほんとにおめでとう。

街のＣＤショップで"KISS"のＣＤを見つける度に
全部買い占めたい衝動に駆られて増えていくＣＤ。

『ごめんね、あんまり会えなくなっちゃって』

「ううん、大事な時だもん。身体に気をつけて頑張ってね」

『………ましろは寂しくないの？俺に会えなくて』

「………裕太、あのね」『あー聞きたくない、聞きたくないから。あのさ、次は俺の家に来て。家デートしよ。外はさ、最近色々とまずくなってきちゃって』

「だんだん有名人になってきたもんね」

かっこいいエモなロックナンバーからバラードまで多彩に聴かせる音楽とそのビジュアルは、多くの女の子達の心を鷲掴みにして、アイドル性も兼ね備えたバンドとして、グラビアやファッション誌の紙面を飾るまでになっていたから、裕太が外を歩きづらいと言うのも分かる気がした。

だけど、家は………

強引にされる次の約束に戸惑いつつも
正直どうしたらいいのか分からなかった。

今を頑張ってる裕太を傷つけたくない
その気持ちが自分のどこから来るものなのか
私には分かっていたから。

ひろの為……………

最悪だ、私。

でも他にどうすればいいのか分からなくて。

曖昧な関係のまま
私と裕太は連絡を取り続けていた。

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でもなかなか裕太とは会うこともできないまま
お家デートも実現することなく時は流れていって

"KISS"は相変わらず順調にＣＤを発売し続けて
精力的に東京各地のライブハウスでLIVEを行っていた。

すっかり取りづらくなったチケットが運良く取れた時には遠くから見てそっと帰る。
そんな日々が過ぎていき。

ホームページのお知らせには
近々重大発表があると記されていた。

それはきっと、

メジャーデビュー───────