2 北山side ページ2
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「気になる?」
「嫌なやつだな、お前」
「その前にミツの話から聞くよ」
「わかったよ」
玉森は言い出したら意外と頑固だから
仕方なく俺から話し始める。
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「……てわけなんだけど」
昨日の桜井さんの話を玉森に説明すると
「いいんじゃない?」
「へ?」
拍子抜けするほどあっさりとした返事に
「……真面目に考えてる?」
「考えてるよ。信用できるインディーズレーベルならいいと思うよ」
「前に音楽は趣味でやれればいいと思ってるって玉、言ってただろ?」
俺の方が不安になる。
「あー言ったね」
「なら何で」
「気が変わったの。いいよ、このバンドでやれるとこまでやろうよ」
「この先ライブ数も増えるし、全国回ったりもあるかもだし、定職は厳しい………んだけど」
「あー、そうだよね。じゃあ、覚悟を決めてやりますかね。
やれるだけやってダメだったら、今後こそ音楽に対しての踏ん切りもつくだろーしね」
正直意外だった。
メンバーの中で一番反対するのは玉森だと思っていたから。
「いいのか、本当に」
「俺はいいよ。ニカと宮田はなんて?」
「まだ返事待ちだけど」
「そっか。でもあの二人なら平気でしょ、ミツと同じくらい音楽を愛してる二人だもん、きっと覚悟決めるんじゃない?」
「玉、お前……雰囲気変わった?」
上手く説明できないけど、玉森からなんだか今までよりも楽しそうな陽のオーラを感じるから。
「え、そう?
でもそれ言うならミツもじゃん」
「俺?」
「うん、変わったよね。
きっと本来のミツって真面目で一生懸命な人なんだろうね」
だとしたら、それは………
「それは、」「ねぇ、ミツ」
玉森が俺をじっと見つめる。
少し申し訳なさそうに。
だけど覚悟を宿した目で。
「ミツにお願いがある」
「………なに?」
嫌な予感が、した。
「Aとの○フレ関係を解消してくんない?」
え?
「俺はAと本気で付き合いたい。
あ、今までみたいにミツから奪うとか、共有とかじゃないよ。本気でAと恋人になりたいって意味で」
「ちょ、ちょっと待って、
玉、あのさっ」
「だからAを自由にしてあげてよ、ミツ」
…………マジかよ。
○フレが必要なら、ほかの女でもいいでしょ?って珍しく何度も俺に頼みこむ、真剣な玉森の表情に、
何も言い返すことができなくなった。
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作者名:はちみつみゆ. ましろ | 作成日時:2020年1月9日 18時