嘘つきなキス ２

３０ 北山side ページ30

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啄むキスは少しずつ、少しずつ深くなって
温かな舌を求め、探し、吸いつくように絡ませれば
鼻から抜ける彼女の甘い声に
下半身が重くなる。



唇を離しながらも、いつまでも舌先を擦り合わせていると
甘い痺れが身体中に広がって、自身が痛いくらいに立ち上がる。



それに気づいたAがそっと俺のモノに手を伸ばした。




「っん、なんだよ………もう欲しいの？」




柔らかく握りこまれ、ゆっくりと擦られて
漏らしそうになった吐息を誤魔化すように訊けば、




「覚えておきたい、全部、ひろの全部」




そう言って、ゆっくりと身を起こしたAが
ベッドの上に座る俺の脚の間に顔を埋めた。



「っあ、…………んっ、ﾊｧ………」



手とは違う、温かく、柔らかな中に、我慢しきれず漏れる声。



湿った舌で張り詰めたモノを丁寧に舐めていくA。


今まで見た事がない程、なまめかしく色っぽいその姿に、
俺が大人にした、という優越感と同時に
他の男にもその姿を見せるのかと思うと激しい嫉妬に駆られる。



嬉しくて、くやしくて、そんなぐちゃぐちゃな感情と激しい快感に、Aの柔らかい髪の毛をくしゃっと掴んで、もっと深く咥えさせる自分。




「んっ…………っ」




少し苦しそうな声さえ、興奮してしまうなんて
男は本当に勝手な生き物だ。



「っ、んっ………ぁ………きもち………」




精一杯奥まで咥え、水音を立てながら頭を動かすAに、胸がぎゅっと締め付けられる。




ほんと俺なんかのどこがいいんだよ。
いつだって自分のことしか考えてない最低なヤツなのに、なんでお前はこんな最低な男に付いてきたんだよ。




「はっ、んっ……も、で、るっ
Aの口に……出してい？」




余裕のない俺の声に
咥えたまま上目遣いで俺を見たAがこくんと頷く。



「っ、ぁ、、出る、っ………」



瞬間、きゅっと固くした舌先で括れを抉るように刺激され、



「っ、はっ………ぁっ」



あまりの気持ちよさに一瞬、意識がトんだ。




一気に吐き出した俺の欲を喉を鳴らして飲んだAのことを
どうしようもなく愛おしくなって強く抱きしめれば、
大きな目からぽろっと涙を零すA。





「…………泣くなって」


「嬉し涙だもん」









嘘ばっかり。









俺達の間は



嘘ばかりだ─────。

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