MAD BOY

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sho side




それは一目惚れだった


3年前


マンションのエレベーターで出会った君


お互い軽く会釈をして通り過ぎる


可愛らしい顔に艶やかな黒髪がとても似合っていて
甘いシャンプーの香りに胸が高鳴った


お隣さんだと知ったのはそれからすぐのこと


日に日に彼女への想いが募っていき


どうすればもっと彼女のことを知れるのか

どうすれば彼女に近づくことができるのか

どうすれば彼女に俺を好きになってもらえるのか


そればかりを考えて生きていた


行動に移すようになったのは最近のこと


彼女が仕事から帰ってくる時間を狙って

家の鍵を失くしたふりをして部屋に上がり込もう


でもその日彼女はいつもより3時間も遅く帰ってきた


何かあったのか？

彼氏は居ないはずだけど...


と疑問に思いながらも
優しい彼女は予想通り部屋に招き入れてくれた


今日は“仲良くなりたい”と伝えるだけ

いきなり迫ったりしたらだめだ

まずは信頼を得るところから


“またすぐ来る”と言うと彼女は頬を赤らめていた

なんて愛らしいのだろう

熱くなる体を抑えてその日は彼女の部屋を後にした


次に訪れた時は彼女の部屋の鍵の型を取って合鍵を作った

それから彼女が仕事で部屋にいない時を狙って盗聴器を設置した

彼女の様子がいつでも見られるように壁に覗き穴を作った


夜になると彼女は偶に電話をする

相手は“じゅんき”とかいう奴らしい

名前からして男だ


なんで

俺がいるのに

他の男と電話する？

Aに男は俺だけで充分だ


彼女の様子を見ると俺に向けていたような照れた表情をしている

俺は焦った



“次は俺の部屋においで”



Aは渡さない

誰のところへも行かせない

どんなに拒まれたって



絶対逃がさない





neighbor 隣人



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