MAD BOY

eden （keigo） ページ15

.




p.m. 7:00



広い部屋にひとり



大きなテレビにうつっているのは


映画 ピーターパン



スマホを持っていないわたしにとって


映画を見ることが唯一の娯楽



そろそろ景瑚くん(かいぬし)が帰ってくる時間



着ている白色のキャミソールワンピースの皺を伸ばしながら

景瑚くんの帰りを待つ



ｶﾞﾁｬ



景「ただいま A」


『おかえりなさい 景瑚くん』



＿＿＿＿



この生活が始まったのは2年くらい前のこと



専門学校を卒業後 就職して社会人2年目の景瑚くんと


4年制大学に入学し今年卒業するわたし



出会いはわたしがアルバイトしていたお店


景瑚くんはそこの社員さんだった


共通の趣味があったわたしたちはすぐに仲良くなり恋人関係になった



就職活動が思うようにいかず悩んでいる時期だった


アルバイト中

景瑚くんの仲のいい後輩でよくお店に来てくれる木全くんに声をかけられた


翔「あ あのっ
Aさんって景瑚くんと付き合ってるんですか？」


突然の質問に驚きながら


『うん...そうだよ』


と答える


翔「やっぱりそうかぁ」


と頭を掻きながら呟く木全くん


翔「あのっ！今度お茶しませんか！ふたりで...」


またもや突然のことで驚きを隠せない



どうしよう...


景瑚くんなんて言うかな...


でも断って変な感じになっちゃうのも嫌だし


景瑚くんの大好きな後輩くんだし


一回お茶するくらいだいじょうぶだよね？



『うんっいいよ！』


翔「ほんとですか！

あっ でも景瑚くんにはないしょですよ？」


『えっ』


翔「また連絡します」


と言い残して木全くんは行ってしまった




.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す