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「…おっきい声でそんなん言わんといてくださいよ…」
ごめん、と梟谷の白福が謝る。
沢山かいた汗を流し、湯船に浸かる。Aはすぐにのぼせてしまう体質だったので、早めに出た。
烏野と梟谷のマネージャーに先に失礼します、と声をかけ、廊下に出た。
(喉乾いたな)
幸い小銭を持っていたので、そのまま自動販売機が設置されている場所まで向かった。
どれにしようか、と悩んでいたその時。
「……A?」
「…侑」
喧嘩したこともあってか、幼馴染の侑が、なんだか遠い存在のように思えた。
「…お疲れ様。ごめん、すぐどくわ」
侑が財布を持っているのを見て、飲み物を買いに来たのだろうと察したAは、ミネラルウォーターを素早く押し、その場を離れようとした。
「…A、ちょっと今話できへんか」
Aは声では返答せず、2人で近くにあったベンチに腰掛けた。
侑がどうやって話を切り出そうと悩んでいると、先にAが口を開いた。
「……ごめんな、私が余計なこと言うてもて、侑を嫌な気持ちに「ち、ちゃう!なんでや!」……………え?」
「お前は何一つ悪くない!…悪いんは全部俺や。ほんまにごめん。酷いこというてもうた。「マネージャーのくせに」って、絶対言うたらあかん言葉やった。…もちろん、そんなこと本気で思ってない」
「やけど、本気で思ってなくても、俺の口から出た言葉には変わらん。Aのこと、傷つけてもうた。Aのことで余裕なくなってて…ほんまにごめん」
「…もうええで。本気で言うてへんってわかってたし…。それに、侑が雨宿りすんのにうち来た時、嬉しい言葉かけてくれたしな」
それでチャラにしたるわ、とAは笑った。
久しぶりに見たAの笑顔に、侑はきゅうと胸が締め付けられ、ありがとう、と笑顔で返した。
「……ていうか、私のことで余裕なくなる…って?」
「あー、それは…俺が、他校と仲良くしてるA見て、勝手に1人で寂しなって、拗ねて…お前がまたどっかいくんちゃうかって思ってしもた」
「音駒だけじゃない、他の部員とも仲良いし。音駒の部員とは全員距離近いし、ベタベタ触りよるし。…Aは稲荷崎のマネージャーやのに」
Aは、治が言っていた「Aが他校と仲良くしているのを見て拗ねてる」という話を、適当に言っているものと思っていたので、驚いた。
Aは、口を尖らせ、歯切れ悪く話す侑を見て、ぶっ、と吹き出した。
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ちび(プロフ) - ひなこさん» コメントありがとうございます!その通りです!お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございました! (2020年7月5日 14時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
ひなこ - 12ページの角名くんのセリフ火のないところに煙は立たないが正しい言葉だと思いますよ、 (2020年7月1日 20時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - リョンリョンさん» コメントありがとうございます!!もっときゅんきゅんできるように、更新頑張ります(*^^*)暖かいお言葉励みになります! (2020年6月6日 23時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - さむつむさん» コメントありがとうございます!クロは私的に女性に優しいイメージなので、そこを意識して書いてます笑 更新頑張ります!! (2020年6月6日 23時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
リョンリョン(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主が宮兄弟にまた会えるようにと思ってバレー続けてるとか普段強気なのにとても健気でかわいいです笑稲荷崎の宮兄弟と北さん推しなのでめっちゃ見ててキュンキュンします!!更新大変だと思いますが頑張ってください! (2020年6月6日 13時) (レス) id: 21731a0686 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちび | 作成日時:2020年6月4日 19時