冬の寒さと恋は人を変えるらしい (ページ1)

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1.待ちに待った日ページ1

12月28日、今日は待ちに待ったような
待っていないような、いやそれは＿＿＿＿＿＿。

〜♪

集合時間の8時が近付くにつれ、ソワソワする気持ちが高まってくる。
その気持ちに追い討ちをかけるように鳴った通知音。

純喜Aちゃんおはよ!下着いたで😁
おはよ〜!了解😸今いくね

1泊2日なのに軽く5泊は出来るであろう大荷物になってしまったのは、他でもないこのLINEの送り主のせいだ。

この日のためにSNSでエゴサーチをかけまくり買い込んだメイク用品。”夜も可愛くいたい、すっぴんメイク”だなんて矛盾しすぎ、そう少し前は思っていたのに今じゃその為に一式揃えてしまったくらい。

恋は時に人を変えると悪い意味でも、その逆でも言われるけれど多分きっとこれは後者だと思って
玄関の姿見の向こうにいる自分に気合を入れる。

コンコン、と助手席側の窓を軽くノックすると眩しい太陽という言葉が似合いすぎる笑顔が私を見つける。

「おはよーさん、はよ乗り？」

「おはよう〜、あれみんなはこれから？」

そう言いつつも、自然と助手席に乗ってしまった自分に拍手を贈りたい。
そして、私を最初に迎えに来てくれた純喜くんに金メダルを。

だなんて頭の中では思えても実際は焦って考える余裕もなく
たまたま、あくまでたまたま助手席に乗ってしまったし
ガランとした後部座席を見て今絶賛焦ってる。

カーステレオから流れてくるのは何故か夏の曲。

TikTokで流行った、4人乗りの〜って歌詞が頭から離れない曲。

名前は忘れたけれどどうして真冬にこの曲を流してるのかが気になって仕方がない。

「Aちゃんあれやろ、なんでこの曲って思ってんやろ」

「だっ、心読まないでよー！でもなんでこれ？」

「この間知ってんこの曲」

「えーおっそ！えーーっ」

「そんな驚く！？なんか、ドライブにええなぁって思ってな〜ま、季節ちゃうけど」

そう言いながら友達の家へ向かう車を走らせる純喜くんが眩しかった。