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『ランチア、ね。
僕はA、有咲A』
相手に名乗らせておいて自分が名乗らないのはなんだかなと思い、自分の名前を名乗るとランチアは驚いたように目を見開いた。
｢有咲A……。
未来視のAか？｣
今度はこちらが目を見開く番だった。
まさか知っていたとは。
『そう言われているみたいだね。
言っても、見たいものが見られる訳じゃないんだけど』
どこで僕の名前を聞いたの？と聞くと、ランチアは少し話しづらそうに口を開いた。
｢……昔、アイツに操られてあるファミリーを潰して正気に戻った時"未来視のAが居れば…"と息絶える前に言っていた奴がいたんだ｣
『そう……』
きっとそのファミリーは一時期、私が囚われていたファミリーだったのだろう。
｢……大丈夫なのか？｣
そんなことを考えていると、ランチアが心配そうに声をかけてきた。
『何が？』
｢アイツに利用されているんじゃないのか？｣
私が聞き返すと、なおも心配そうにランチアはそう答えた。
『利用するとは言われてるよ。
でもその代わりに他のファミリーから助けてくれるって言うから着いてきたんだ。
……まぁ、利用されてやるつもりもないけどね』
｢……そうか｣
私が答えると、ランチアは納得いかないような顔をしたが、もう何も言っては来なかった。
｢何をしているのです？｣
後ろから骸の声が聞こえて振り返る。
『別に、ちょっと話してただけ。
もう話は終わった？
僕、明日の宿題がまだ終わってないんだ』
骸教えてよ、なんて言うと骸は仕方ないですねと微笑んだ。
｢……では、よろしくお願いしますね｣
骸が住処に入る前にランチアにそう告げているのを聞きながら私は住処に入っていった。
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作者名：ぜにがめ | 作成日時：2017年6月9日 15時
