利用4 ページ5
｢さて、どれにしましょうか｣
あれから日本に渡った私の目の前には今、何十種類もの中学校の制服がある。
『どれにしましょうかって…。
何、中学校に通うの？』
怪訝な表情になって骸に聞くと、骸は当然とでも言うように頷いた。
｢骸さん！
これはどうれすか？｣
｢あまり好みではありませんねぇ。
Aはどれがいいと思いますか？｣
骸に聞かれて私は目の前の制服たちを見渡した。
『……そうだな、あれとか？』
そう言って私が指さしたのは深緑色をした学ラン？だった。
｢ほう、いいですね。
千種、これはどこの物ですか？｣
骸は私が指さした先の制服をじっくり眺めると、千種に問いかけた。
｢……黒曜中です｣
千種が答えると骸は口角を上げて、ではここにしましょうと言ったことにより私たちの転入先が決まった。
そして転入前日……。
｢僕達は3年に、Aは1年です｣
『え、千種はともかく犬も3年なわけ？』
どう考えたって私の方が頭いいと思うんだけど、なんて思いながら口を挟むと骸は｢その方が動きやすいのです｣と笑った。
｢ふんっ｣
それを聞いた犬が勝ち誇ったみたいに鼻を鳴らしたのを聞いて私は何故か無性に苛立った。
｢転入してすぐに生徒会を乗っ取ります。
Aは僕達が生徒会を乗っ取った後に生徒会に入りなさい｣
ああ、それと……と骸は続ける。
｢僕とAは兄妹ということになっているので｣
そう言うと骸はクフフと悪戯っぽく笑うのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぜにがめ | 作成日時：2017年6月9日 15時
