▽ ページ4
･
何かがきっかけでAの生きる時間に異常が生じ
未来が大きく捻じ曲げられ
その結果、本来の時間から強制的に切り離されたA
1度は存在そのものが消えたはずだったのだが
奇跡的に全く別の時間に繋がり
記憶の核であったAは無意識に正しい時間として記憶
そんなこんなで今に至った、という
なんとも言えないふわっとした真実
なんでもAがAであるために
Aが記憶の核であるためは必要なことだったらしいが
ハッキリしたことはわかっていない
A｢じゃあ私はお母さんの子供じゃないの？｣
A｢お兄ちゃんも本当のお兄ちゃんじゃないの？｣
突然のことに戸惑い、混乱するAは
母親の横顔から目を逸らさずに
ゆっくりと数歩だけ後ずさった
今までの出来事は一体なんだったのか
何もかもが信じられずにいる
｢そこは間違いなく言いきれるわ｣
｢貴方は正真正銘、私が産んだ子｣
｢ただ…正しい時間ではそうじゃない｣
1度はこの世に産まれたはずの存在が
時間が捻れて歪んだことにより
全てをリセットされ
全く違う母親と、家族と繋がり
再びこの世に産まれた
Aは確かにこの母親の腹の中から生まれたが
容姿や性格は本来の時間でAを産んだ親に似てしまっている
産んだ本人も、産まれた本人も、混乱するような真実
A｢………そっか、そんなことがあったんだ｣
A｢でも私はお母さんの子供であることに変わりはないし、血もちゃんと繋がっているんだよね｣
複雑な生い立ちを抱えるAだったが
特別辛いだとか、悲しいだとか、そんな気持ちはなかった
当然驚いたが
今更どうこうするようなことではないのは確か
母親はAの言葉にゆっくりと優しく頷き返した
A｢どれが本当の家族だとか、時間だとか｣
A｢そんなものはないよ｣
偶然繋がった時間でも、なんでもいい
Aにはちゃんと記憶として
偶然繋がった時間の先にいた家族との幸せな日々がある
記憶こそが時間、というのなら
記憶として残っているものがAの時間
誰がなんと言おうと、これだけは曲げられない事実
A｢どれも大事な時間だから｣
A｢私はこの時間に生まれてよかったって、胸を張って言える｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年6月26日 11時
