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｢まぁ…とりあえず入れよ｣
A｢うん｣
まだ小学生とかその辺のはずなのに
どこかやけにツンツンしてるというか
大人びた態度の少年に時々圧倒される
どっかの誰かさんに似ているなぁと思っていたが
その誰かさんが誰かは言わないでおこう
ただ口調とかぶっきらぼうな所が似てるだけだ。
｢ただいま｣
ミルクディッパーの扉を開いたかと思えば
当たり前のようにただいまと言って
スタスタと入っていく少年
Aも少年に続き、いつものように店内へと入った
店に入った瞬間からあちこちを見渡すが
それといって変わったところは特に見当たらない
Aの知っている今現在のミルクディッパーと
大して変わりない光景
ただ唯一、違うところがあるとすれば─
｢父さん、この女の人が俺たちを助けてくれたんだ｣
店の中に少年の父親がいて
店主であるはずの良太郎の両親がいないこと
店に入るまではてっきり良太郎の両親もいるものだとばかり思っていたが
運がいいのか悪いのか、良太郎の両親は不在
良太郎が来るのなら会わせてあげたいと思っていたものの
これはこれで逆によかったのかもしれない
何がよかったのかはイマイチわからないが。
｢君が……｣
足元を見つめていたAが
男性の声に反応し
慌てたように顔を上げた
｢息子と娘を助けていただきありがとうございます｣
｢感謝してもしきれません、命の恩人だ｣
店の奥のテーブル席から
Aの元へとゆっくりと歩いてきたかと思えば
しっかりと深く頭を下げた男性
男性は細身だが身長が高く端正な顔立ちをしているうえに
息子と並べば完璧に瓜二つ
ここまで似ている親子はいるのか？と思うくらいだ
A｢そ、そんな…頭をあげてください｣
A｢感謝されるほどのことじゃありません、ただ自分にとって当たり前のことをしたまでです｣
素直じゃなくてぶっきらぼうで
どこか不器用な少年と比べて
流石は大人の男性、態度が全然違う
人に感謝されることにあまり慣れていないAは
勢いよく首を横に振り、男性に下げた頭を上げるようにと何度も何度も頼み込む
｢父さん！頭なんか下げんなよ！！｣
｢何を言ってる、命の恩人なんだぞ｣
｢父さんのそういうとこは嫌いだ｣
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年6月8日 22時
