無気力組なんでしょ？【無気力組】 (ページ41)

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episode.40「意地悪」ページ41

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「え、ちょっ…蛍！どうして、」

私のことなんて気にせず歩いていると思いきや、
意外と私の歩幅に合わせて歩いてくれていた。

「だから、偶然だってさっきから何度も言ってるでしょ」

「でもさっき、ケージがつけてたって…」

しつこく蛍に真実を問うが、
堅い口は開こうとしない。

こうなったらお色気作戦しかないと思った私は
少し胸の服をゆるめて蛍に言い寄る。

「ねぇ蛍～、おーしーえーてー」

その瞬間、蛍の動きが停止する。

そして急激に顔を朱色に染め上げる。

「ちょ、…なに、してんの」

「お色気作戦？」

そう私が答えると、蛍は鋭い視線を私に向けて
また歩き出した。

「え、どこ行くの」

「いいから」

焦ったような声で蛍は冷たく言い放つ。

渋々、蛍のあとについていく。

数分歩いた末についたのは
人気の少ない裏道。

「…ねえA」

「ん、なに」

さっきとは雰囲気の違う蛍に、
少し控えめに返事をする。

「さっきみたいなの、けーじとかにした？」

「さっきみたいなの…？」

振り返った蛍は、少し頬が紅い。

「だから、その、お色気…」

「あー。してないよそんなの」

そう言うと蛍はほっと息を吐く。

「そう、じゃあいいけど。
これからもしないでよ。特にけーじには」

「しないけど、なんで？」

わかっているけど、少し意地悪してみたくなった。

いや、意地悪というのは建て前かもしれない。

蛍は頬の紅いまま、むすっと怒った顔をする。

「わかってるくせに」

「え、なにを？」

蛍は私に近づいてぎゅぅっと抱きしめてきた。

「Aが好きだから、
他の奴に見せたくないんだよ…」

蛍がこんなに素直になるなんて思っていなくて
心臓が破裂しそうなほど煩くなる。

(なんだろ、これ…)

「んふふ、」

「なにその笑いかた…。ちょっとキモい」

「ひどい！」

楽しいな、なんて

思ってしまう自分がいた。

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