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episode.41「間逆」 ページ42







その後は、蛍が
「けーじはどーでもいいから、」
と私の手を引いて帰りようのバスに乗り込む。

いつの間にか陽が傾き始め
もうすぐ沈む頃。





「え、ケージは本当にいいの?」

「どーせ一人だから女子にでも絡まれてるデショ」





確かに、と納得してしまう。

ケージの不機嫌そうな顔が想像できる。


ぼすっと椅子に座ると、今日の疲れが
どっと押し寄せてきて睡魔に襲われる。





「ふ、わぁ...」

「…寝る?」

「ん、寝るかも、」





意識がふわふわとして、
この感じが少し気持ちいい。

蛍はそんな私を見て
小さくため息をつく。





「…そんなんだから、襲われやすいんだよ」





ぼそりと呟いた言葉は、
あまりに小さく私には届かなかった。





「ん、なんかいった?」

「…なんでもない」





顔を朱色に染め、
少し不機嫌そうな表情。





「どうしたの?」

「――Aのせいだから...っ」





ちゅっと、軽く触れた唇。

眠気がスゥっと飛んでいくほどの
強烈な行動。





「なっ、なな!?」

「…Aが無防備すぎんの」

「む、無防備…?」





言われた言葉に
あまりピンとこなかった。





「そう、かな…」

「そうなの」





ムキになった蛍がどこか愛らしくて
自然と笑みがこぼれる。





「…なに」

「いやぁ、なんか愛されてるな〜って」





冗談交じりに本当にことを言ってみた。

「馬鹿じゃないの」なんて
貶されるのを想像していた。





「そうだよ」





返ってきたのは、想像とは
180度ひっくり返った間逆の応え。





「え…、」





そんな応えが返ってくるなんて
誰が想像するだろう。

一瞬思考停止してしまう。





「Aのこと、愛してるよ」





真正面からしっかりと目を見て言われ、
こちらはたじろぐ。

蛍は言ってから羞恥心にかられたのか
急激に頬を紅く染め上げる。





「ば、バッカじゃないの!?」

「ちょっ、さっきのは私悪くないでしょ!」





恥ずかしさが伝染してきて
頬に熱が集まってくる。





「も、もう寝る!」





バッと窓に身体を向け、
蛍から逸らす。








それからも顔の熱が引くことはなく

寝ることもできなかった。





episode.42「意識」→←episode.40「意地悪」



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無気力さん(プロフ) - あくとさん» 遅くなってしまってすみません!ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月30日 21時) (レス) id: 14336173ff (このIDを非表示/違反報告)
あくと - 続き楽しみにしています。 (2018年2月4日 15時) (レス) id: e7f9e66541 (このIDを非表示/違反報告)
無気力さん(プロフ) - アカアシモリフクロウラヴさん» しちゃうぜ〜〜!笑( *´艸`)ムフフ/// (2017年8月24日 23時) (レス) id: b833ef5e1c (このIDを非表示/違反報告)
アカアシモリフクロウラヴ(プロフ) - 無気力さんさん» 確かにねw月島イチャイチャして!是非ともぉぉ!!ww (2017年8月18日 19時) (レス) id: 1bd6eb8b1e (このIDを非表示/違反報告)
無気力さん(プロフ) - アカアシモリフクロウラヴさん» やーやー!といっても、こみゅにはちゃっかり来ちゃってたり笑 月島やばいよー、もっといちゃいちゃさせたい…! (2017年8月16日 12時) (レス) id: b833ef5e1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無気力さん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年8月19日 17時

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