告白 ページ26
次の日、朝比奈くんの家に上がらせてもらった。
一般的な一軒家よりも一回り大きそうな家だった。
お邪魔します、と云って上がると朝比奈くんは「親居ないしかしこまらなくて大丈夫だよ」と笑った。
それ本当に家に二人っきりじゃないですか。
二階にあるのが彼の自室らしく、入ってみると高校生男児の部屋とは思えない程片付いていた。
なんか私の部屋の方が参考書とか文庫本とかで散らかっている気がする。片付いているだけじゃなく白黒で固定されたその部屋は
「……めっちゃ綺麗な部屋だね」
「んー、まぁちょっと片付けたけどな！」
座ってよ、と云って朝比奈くんはテーブルの前に座布団を敷いた。
テーブルには参考書とノートと筆箱とオレンジジュース。
嗚呼、いいな。勉強するぞ！って感じだ。
「じゃあ分かんないとこ云って。教えるから」
「おっけーさんきゅな！」
さて私も数βの提出物を片付けようかな。
*****
「_____で、この公式を当てはめて解いてみて」
「おーなるほど！さすが涼木だな！」
無邪気に笑う朝日奈くん。
そこでふと時計を見ると、私が訪ねて来てもう二時間半経っていた。
……今朝日奈くんがやっている問題が終わったら休憩するか。
勉強には休息も大事だからね。
「……なあ涼木」
「ん？なに？どっか分かんない？」
「俺涼木が好きだ」
「へぇ……
……え？」
朝日奈くんの視線はずっと問題集に落ちている。
さっきまで私と朝日奈くんの声が響いていた部屋はしんと静まって、彼が動かすペンの音と窓の外でしとしとと降る雨音だけが聞こえた。
私の口からは再び「え……？」という間抜けな声が滑り落ち、それを皮切りにして朝日奈くんが私の方を振り返ってペンを置く。
「好きだ。俺、涼木のことがそういう意味で好きだ。ずっと気になってて……それで、お前に近づきたくてノート借りたり勉強教えてもらったりして……キモい、よな。ごめん。でも、好きだ」
真っ直ぐな朝日奈くんの視線は何故か痛かった。刺さりそうな程真っ直ぐな目だった。
「……え、っと」
「嫌いか？涼木……俺のこと」
「嫌い、じゃ、ないよ」
「じゃあ」
動揺して揺れていた視界が反転した。
目の前には朝日奈くんの端正な顔があって、顔のすぐ横にはスポーツ少年らしく逞しい腕がカーペットに突き立てられていた。
押し倒されている、と、気付く
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陽毬 - 釣り合わないから自分は好きではないと言い聞かせる、共感を煽る描写がめっちゃ好きです……。起承転結綺麗にまとめあげているし、普通の本では難しい掛け合いが凄く好きです。ありがとうございましたm(_ _)m (2022年7月29日 3時) (
レス) @page33 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
ﾒｰﾌﾟﾙ - 完結おめでとうございます！夢主ちゃんが太宰さんに好きと嫌いを何回も言うｼｰﾝが泣いてしまいました…。私も太宰さんを初めて好きになったときが夢主ちゃんみたいな状態だったので(夢主ちゃん程可愛くはありませんがw)凄く共感できました！素敵な作品を有難うございます！ (2017年6月25日 8時) (携帯から) (レス) id: f962e3e675 (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - ゆーあさん» 更新ノロマですみません！｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡谷崎さんは幼馴染みで兄のようなものなので男としては見ていない……という設定です(｀・ω・´)決して谷崎さんに魅力が無いとかいう訳ではなく！！:(；ﾞﾟ'ωﾟ'): (2017年6月18日 21時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーあ - 久しぶりに見たら更新たくさんされててヒャッホオオォォ！てなりました。男の人の家に行ったこと無いとは谷崎さんは男の人とカウントされていないのだろうか。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5ac2a3e4cf (このIDを非表示/違反報告)
無気力感(プロフ) - Aliceさん» あああすみません！すぐ修正しました！！(´；ω；｀)御指摘ありがとうございます！。゜(´＾ω＾｀)゜。 (2017年6月2日 20時) (レス) id: bc55e42e35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力感
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月7日 19時
