信仰141 ページ22
そうだ。
私がもし太宰さんを選んだら、私はそのままポートマフィアを捨てることになるのだ。
かつて太宰さんが私にそうしたように、私はポートマフィアを抜けなければならない。
それならポートマフィアに在籍したまま太宰さんと付き合えばいいのではないかと素人は言うことだろう。
残念ながらこの世界はそれ程甘くない。
仁兎を追うものは……なんて言う気は無いが、恐らくそれに近しいだろう。生きるか死ぬかの世界なのだからそれにちなんで二択にすると、受けるか断るか以前に辞めるか辞めないかという問題になってくるのだ。
今は停戦協定中と言えどそれがいつ解除されるか分からない。通常ならば睨み合いの続く敵同士。
太宰さんはとにかく、私はこれでも上の方の立場だ。恋仲など冗談にもならない。
「……やっぱり私、きちんとお断りを」
俯きながらそう呟きかけた時、
ヴヴヴ、という机を駆ける耳障りな音にびくっとしつつも姐さんに「すみません」と断りを入れて中身を確認した。
「電話か?」
「いえ、メールです」
手紙のマークが目印のボックスの上についた通知。
取り敢えず開けると本当に時機をはかったのかと思うような内容と人間だった。
「……太宰か」
「……はい」
そこにはシンプルな『明後日会えるかい?』というメッセージしか無かった。
比較的真っ白なその文面を閉じて携帯を再度机に置き、はぁあ……と崩れるように机に突っ伏した。
項垂れる私とは裏腹に姐さんは涼しい顔で渋い酒をかたんと傾けていた。
「なんと来たのじゃ?」
「……明後日は会えるのかと」
「予定は空いているのかえ?」
「……書類が少々」
「外出的な任務は」
「今のところはないです……」
ふむ、と言って姐さんがグラスの中に視線を落として少し考えるような素振りを見せた。
「……よし。その書類此方で代わってやろう」
「はい!?」
まさかの申し出に飛び起きる。
何故姐さんがそんなことを!?
「行ってくるが良い。疑問ばかりが浮かんでおるのじゃろう?その疑問は
「そ、そんな……だって私は」
「A、之だけは云うておくぞ」
姐さんは鋭い目線をこちらに投げつけて口を開いた。
「自分に嘘をつくな」
姐さんの言葉は、厭に自分の底へ落ちていった
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おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時