信仰133 ページ14
今回の事件についてはあまりに大きい事(ヘリコプター墜落事故とか)があった為探偵社が徹夜で報告書を作成し、異能特務課など各方面に送ることとなった。
なんとこの私太宰治でさえもそれに協力せざるを得ないという稀な光景になったが当然やる気なんて遥か彼方。ちょくちょく癒しという名のAちゃん補給をしつつ(真っ赤でそれはそれは可愛らしかった)国木田くんにしばかれるといった事を繰り返しながらなんとか
見栄でもなんでもなく、本気になれば多分30分で片付く書類だったけど当然Aちゃんに構う為の口実だ。もう今日には帰ってしまうのだから。
かといって別に湿っぽくなどはならない。
Aちゃんが再びあんな男(森さんと捉えてもらっても中也と捉えてもらっても構わない)の下でその腕を奮いつづけるのかと思うと確かに涙が溢れんばかりだが、生憎今は停戦協定中。勝手に会えばいいだけの話だ。
(嗚呼、けれど)
彼女がまた私と共に動いてくれたら、どれだけ幸せだろう
もう捨てたと思っていた欲が、彼女と共にまた仕事をすることでむくむくと蘇って来てしまったではないか。
彼女が日の当たるこの世界で私と共に再び仕事をしてくれたら、
今度こそ私は。
……彼女の隣で、歩いて行けるだろうか
*****
「本っ当に御世話になりました!」
目の前で深々と頭を下げるAちゃんにニコリと笑う。
探偵社の他の面々にはもう挨拶を済ませ、芥川くんと樋口さんは事務手続きなどが終わって昨日、中也とAちゃんを残して去った。二人共会釈はしていたが帰ってからも殺伐とした事務などがあるのだろう、言葉少なにして去って行った。
今顔を上げたAちゃんは、その二人の分まで他の社員に御礼を云っているようにも見える。
「中也は?」
「社長殿ともう少しお話をされて行かれるそうです」
「ふーん」
中也なんかに興味は無いけど、Aちゃんに今から告げる要件にあの男が居たら面倒で仕方ないのだ。
「ねぇAちゃん」
「はい、なんですか?」
相変わらずにこにことして此方を見上げる彼女が返事をした途端、わたしの口を止めるように風が吹き付けて近くの木々をさらさらと揺らした。
それでも構わず、表情を変えずに笑顔のまま言い放った
「探偵社に、来ないか」
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おれんじ(プロフ) - とてもとても面白かったです!なんか感動しちゃって泣いちゃいました笑素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月3日 22時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
チキン - すごいっす!双黒が凄いかっこよく書かれてました。!でも太宰さんENDも見たい気持ちも少しあったかも……。これからも応援してます★ (2019年6月24日 22時) (レス) id: 4977555463 (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - そしてこの作品とても面白かったです!また新作も作ってくれると嬉しいな〜なんて・・・。。これからも頑張ってください!!(◇∀◇) (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
存在理由【レゾンデートル】 - 初コメントでこんなこと言うのもあれですが、ハイキューの個人指導塾のやつ、修正おわってなくていいのでパスワード解除していただけないでしょうか・・・?無理にとは言いません!!そ (2018年5月3日 23時) (レス) id: 2916bffe8d (このIDを非表示/違反報告)
yun(プロフ) - 初コメ失礼します!とても素敵な作品でとても楽しく読ませて頂きました!続編楽しみにしています! (2018年3月5日 15時) (レス) id: 568876bb4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力感 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月6日 16時