時透の双子は、長女である私が守る。1 ページ16
【A side】
時透 A
「霞の呼吸 弐の型―――」
――八重霞
血飛沫が散る。鬼の雄叫びが辺りに響く。鬼の首が切れたのだ。
ハラハラと切なく鬼の身体が散っていく。
私はそんな鬼に手を合わせた。
時透 A
「どうか次生まれて来る時は、鬼になんかなりませんように…。」
怒りに燃えていた鬼の瞳がハッと見開かれる。その目から止めどなく涙が溢れる。
そして鬼は消えた。東の方から朝日が登り出す。
―鬼殺隊、階級戊。時透 A。
最近悩んでること、それは。
私の使う呼吸、霞の呼吸が合わないように感じること、だ。
時透 A
「ただいま〜…」
小声でそう言い家に入る。
時透 有一郎
「お帰り、姉さん」
早朝の我が家、誰も起きていないかと思っていたが、ゆうが朝食を作っていた。
時透 A
「ただいま、ゆう」
もう一人の弟、むいはまだ寝ている。…ま、それが普通か。まだ朝になったばかりだし。
…むしろ心配なのはゆうの方かもしれない。10才の成長期真っ盛りの男の子、こんな時間に起きてて大丈夫なの?ちゃんと寝てる?
時透 A
「…何か手伝おうか?」
時透 有一郎
「…いい。疲れてるだろ、そこで休んでろ」
そっけない言い方だったけど、彼なりの優しさだと私にはわかってる。
それじゃお言葉に甘えて、と私はむいの寝顔を見つめる。
時透 A
「ふふ、かーわいー…」
もうすぐ11才になるむいは、ちょっと大きくなって大人びたけど、まだまだ可愛い、甘えっ子。
頬をちょっぴりつつくと「んっ…」と小さく声をあげる。可愛い。
時透 有一郎
「…無一郎、寂しがってたぞ。最近姉さん、ずっと任務ばかりだって」
時透 A
「あら、そんなこと言ってたの?」
時透 有一郎
「言ってはないけどな。…ずっと鶴ばっか折ってるし、チラチラ戸の方見てたし」
時透 A
「…よく見てるのね」
時透 有一郎
「…目が離せない、の間違いだろ」
素直じゃないんだから、本当に。
時透 有一郎
「…せめて、俺がもう少し優しくしてやれたらいいんだが、な…」
聞こえるか、聞こえないか位の小さな声でゆうが言う。
きっと聞こえないように言うつもりだったんだろう。否、そもそも言うつもりすらなかったのだろう。
けど、静かな家の中ではしっかりと聞こえてしまった。
時透 A
「言ってあげればいいのに…大切に思ってるって。じゃないと、…きっと、後悔するよ」
時透 有一郎
「…」
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るるっち(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとうございます!あの話はとても楽しみながら書いた覚えがあります笑 (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 夢主ちゃんのドッキリがすごく面白かったです❗ (8月28日 11時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - はい!!!!そんなこと言っていただき光栄です//////めっちゃありがとうございます。 (7月1日 6時) (レス) id: c9acf0ff51 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 紬さん» そうなんですかね。コメントって貰えたら貰えるだけ嬉しいものですし、私としてはなるべくその思いをお返ししたいと思ってます。しかし、こうして褒めて貰えると嬉しいものですね。こちらこそありがとうございます。 (6月30日 20時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - おーーーー!それは素晴らしいですね。返信できる人ってなかなかいませんよ///本当にいろんな意味でありがとうございます。 (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)
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