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【A side】

言葉の裏の想いを的確に見抜かれ、ゆうが言葉につまる。

産屋敷 耀哉
「君がどうしてもというのなら強制するつもりはないよ、有一郎。

…けど、一度だけでいい、無一郎の思いも聞いてみてくれないか?」

時透 無一郎
「えっ…僕?」

きょとんとしたむいに聞き返されお館様はにこやかに頷く。

産屋敷 耀哉
「ああ。

君はずっと剣士になりたいと思っていた、けれどAと有一郎に反対され諦めていた。

けど先日襲撃にあったことで、その心境に変化があった。」

時透 無一郎
「…どうして、知って…」

産屋敷 耀哉
「ああ、ただの勘だよ。私は勘が優れているんだ」

先見の明…聞いたことがある。

時透 無一郎
「…」

しばらくむいは目を丸くしていたけれど、少しして私とゆうの方に向き直り、言った。

時透 無一郎
「…兄さん、姉さん。僕、やっぱり鬼殺隊に入りたいんだ」

ヒュ、と喉が鳴る。

いつかは言われるとわかってた、私達に反対されてなお、剣士になりたいと思っていたこと、わかっていた。

けどいざ言われると何も言えない。

時透 有一郎
「っ…無一郎」

時透 無一郎
「兄さん、ごめん。でも僕、何を言われても諦められない。兄さんが一緒に剣士になってくれなくったっていい。僕一人でだって剣士になる。

僕、何も出来ないのが嫌だ。

あの時、もし、もしも姉さんがいなかったら、僕も兄さんも死んでいたかもしれない。

それに僕は鬼が許せない。姉さんのことをいつも傷付ける鬼の事が。

…ねえ、僕、もう人を助けたいってだけで戦いたいんじゃないんだ。

『何の役にもたたない』、『いてもいなくても変わらないようなつまらない命』でもういたくない。

次何かがあったときには姉さん一人に戦わせるんじゃなくて僕も助けにいけるようになりたい。僕も姉さんや兄さんを守れる位強くなりたい。

…姉さん、僕達のために鬼殺隊に入ってくれたのにごめん。でも、僕、守られるだけはもう嫌なんだ」

淡々と、まるで台詞のように長い、長い言葉を口にするむいの目はまっすぐで、その姿はいつもと別人のようだった。

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るるっち(プロフ) - 優衣さん» コメントありがとうございます!あの話はとても楽しみながら書いた覚えがあります笑 (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 夢主ちゃんのドッキリがすごく面白かったです❗ (8月28日 11時) (レス) id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はい!!!!そんなこと言っていただき光栄です//////めっちゃありがとうございます。 (7月1日 6時) (レス) id: c9acf0ff51 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 紬さん» そうなんですかね。コメントって貰えたら貰えるだけ嬉しいものですし、私としてはなるべくその思いをお返ししたいと思ってます。しかし、こうして褒めて貰えると嬉しいものですね。こちらこそありがとうございます。 (6月30日 20時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - おーーーー!それは素晴らしいですね。返信できる人ってなかなかいませんよ///本当にいろんな意味でありがとうございます。 (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るるっち | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月8日 18時

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