【鬼滅の刃】時透の長女は弟達を溺愛したい。【時透兄弟】【短編集】

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【無一郎 side】

それに対するあまね様の返答は「･･･承知しました」とみじかなものではあったが、こうして今日まで姉さんは鬼殺隊に入るべく「育手」っていう人にたくさん剣技を教わった。

ちなみに姉さんは「霞の呼吸」っていうやつを教わったらしい。

姉さんは僕らのためにまたしてもあまね様に頼み込んで、その育手って人のところには家から毎日通っていた。

だから僕も兄さんも姉さんの努力も力もわかってるし信じてる。けど、いざとなると本当に怖くなって来たのだ。

不意に、トン･･･と、包丁の音が止まる。


時透 有一郎
「…姉さんがそんな簡単に死ぬわけないだろ。
･･･俺は姉さんを信じてる。」

兄さんがこんな他愛のない世間話(?)に返事してくれるのは久々なので驚いた。

最近、僕らの間に会話は殆ど無くなっていた。

姉さんを間に挟むか、それかどうしても話さなきゃいけないとき、それだけが僕らの間に会話が成立する時だった。

というかそれ以外ほぼ兄さんは返事をしてくれなかったし、僕だって兄さんが冷たいというのは嫌というほどわかってしまったのでなるたけ話しかけないようにしていたのだ。

あ、そうそう、余談だけど兄さんは今味噌汁を作ってる。

姉さんの好きな鯖の味噌汁。

僕も手伝うと言ったのに、兄さんは何故か慌てて「い、いいっ。いいからお前は大人しくしてろ。俺が作るから」といい手伝わせてくれなかった。

再びとんとんと軽やかな音が聞こえる。

兄さんの姿を見ていると、肩が小刻みに震えてるのに気がついた。

他人ならわからないかもしれないけど僕にはわかる。それに、心なしか動作も少し遅くなった気がする。

きっと兄さんも不安なんだ、と僕は勝手に思った。

口ではああいってるしあれもきっと本心ではあるだろうけど、兄さんも姉さんのことは大っ好きだから。

…やっぱり心配なんだなぁ･･･。

･･･とか考えてたらゆっくり戸が開く。

反射的にパッと戸の方を向くと、少し薄汚れた姿で姉さんが微笑んでいた。

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