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時透の双子は姉の隊服を燃やす。1 ページ6

【無一郎 side】

時透 無一郎
「ねぇ、兄さん」

時透 有一郎
「……」

呼び掛けても兄さんは返事を返さない。

……まあ、既に期待はしてなかったけど。


時透 無一郎
「姉さん、帰ってくるかな……?
死んでたりとか……しない、よね?」

僕と兄さんの最愛の姉・時透 Aが、鬼殺隊員になるための「最終選別」に行ってから一週間。

長い、長い時間だった。昔はともかく、今の僕と兄さんはとても仲良しとは言えない。

姉さんという心の癒し無しで生きていくのには限界というところだった。

しかし、そんな日も今日で終わり。

というのも、七日経った今日、姉さんは帰ってくる……はず、なのだ。

そう、「はず」。

姉さんがちゃんと選別で「生き延びていれば」、帰ってくるはずなのだ。

父さんと母さんが亡くなって、姉弟3人になってすぐ、「あまね様」って人が来て、僕たちの先祖は鬼を滅殺する始まりの剣士、ってやつだって教えてくれた。

僕は剣士になりたいって思ったけど、姉さんと兄さん、特に兄さんは猛反対だった。

けどある日、あまね様に水をかけて兄さんが追い返そうとしたとき、水を被ったのは姉さんだった。

驚く僕たち兄弟を尻目に、姉さんは同じく驚くあまね様に言った。


時透 A
「……産屋敷あまね、様。そこまで言うのであれば、私―時透 A、鬼殺隊に入隊させていただきます」

時透 有一郎
「姉さんっ」

時透 A
「ですが」

兄さんの制止を遮るように姉さんが言う。

時透 A
「交換条件、といってはなんですが、1つ頼みがあります。
弟達の事は、鬼殺隊に勧誘しないでください。
私は、弟たちを失いたくない。
亡くなった両親が遺してくれた、一番の、代わりの効かない宝物なんです。
……情けは人のためならず、人に情けをかければ巡りめぐって自分によい報いがかえってくる。
……けど、自分が死んでしまったら何も返ってこないんです。
お願いします。
……お願いしますっ。」

まるで台詞のような長い、長いその言葉が、僕達への愛の深さを物語っていて、僕は感激で泣きそうになった。

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廣岡唯 - 3だあ (11月21日 13時) (レス) @page28 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwキャラほうたい (11月21日 13時) (レス) @page4 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 優衣さん» ありがとうございます!今思えばキャラ崩壊させすぎでは……?と思う描写も多いのですがそれでも今なお楽しんでくれる方がいるというのは本当に嬉しい限りです。コメントありがとうございました! (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - このお話よくできてますよ👌すごく面白いですこの作品‼️特に無一郎と有一郎の3分クッキングが面白くてすごく笑いました❗無一郎と有一郎のキャラ崩壊がすごく面白いです✨ (8月27日 19時) (レス) @page44 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まじですか!!!!めっちゃ嬉しいです//////楽しみにまってます** (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るるっち | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月2日 15時

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