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【無一郎 side】
黒猫はブルブル震え、白猫は怖いらしくミーミー震えた声で泣いた。

時透 有一郎
「こいつら……捨てられた、のか……?」

時透 無一郎
「わかんない……けど、きっとそう、だと思う」

不意に兄さんは白猫を抱き上げた。

時透 有一郎
「……酷いやつらもいるもんだな」

誰に言うでもなく呟かれたその言葉に、同意するように白猫が「……ミィ」と鳴き震えた。

僕は黒猫を抱き上げる。

黒猫は、警戒しているようにシャーッと僕を威嚇し引っ掻いた。

これくらいは痛くも痒くもない。

鬼の攻撃に慣れている僕からしたら、だが。

時透 無一郎
「……大丈夫だよ、僕らは君の……―君達のこと、傷つけたりしないから」

そういいびしょ濡れの頭を撫でる。

猫は「信じられるか、そんなこと」とばかりにツンとそっぽを向いて「ミャア」とだけ鳴く。

けれど、決して嫌がる様子はもうない。

……ふふ、可愛いなぁ。

何だかこの子は兄さんみたいだ。ツンツンしてるとことか。

「ねぇ、兄さん。この黒猫、兄さんみたいだよ」
「なぁ、無一郎。この白猫、お前みたいだぞ」

声がぴったり被って僕達は思わず同時に吹き出した。

時透 無一郎
「だってこの猫、抱き上げたとたんシャーッて鳴いて引っ掻いたんだよ?
しかもそのあと頭なでたらツンってしてるけど嫌がらなくて、姉さんに撫でられて「子ども扱いするな」って言ってるときの兄さんみたいだし、
引っ掻いたのなんてほら、あまね様が勧誘に来たときの兄さんそっくりだし」

時透 有一郎
「おまっ……そんな昔の事掘り返すなよ、これでも結構反省してるんだからな……?
……というか引っ掻かれたのか、大丈夫か?」

時透 無一郎
「大丈夫に決まってるでしょ、僕柱だもん」

時透 有一郎
「そうか、それならいい。
……こいつがミーミー鳴くのとか、ピーピー泣くお前にそっくりだし、ほら、この警戒心のなさとか、まんまお前だろ」

時透 無一郎
「ピーピー泣くって……兄さんこそいつの話してるのさ、僕もうそんなに泣かないし……」

フンッ、と拗ねてみせると、兄さんは「冗談だ」といって笑った。

つられて僕も笑ったとき、僕達の抱いた猫が同時にブルッと震える。

この子達も息ぴったりだなぁ。

そうおもってクスッと笑う。

時透 有一郎
「……早く帰るか、こいつら連れて」

時透 無一郎
「そうだね……あ、ちょっとこの子お願い」

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廣岡唯 - 3だあ (11月21日 13時) (レス) @page28 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwキャラほうたい (11月21日 13時) (レス) @page4 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 優衣さん» ありがとうございます!今思えばキャラ崩壊させすぎでは……?と思う描写も多いのですがそれでも今なお楽しんでくれる方がいるというのは本当に嬉しい限りです。コメントありがとうございました! (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - このお話よくできてますよ👌すごく面白いですこの作品‼️特に無一郎と有一郎の3分クッキングが面白くてすごく笑いました❗無一郎と有一郎のキャラ崩壊がすごく面白いです✨ (8月27日 19時) (レス) @page44 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まじですか!!!!めっちゃ嬉しいです//////楽しみにまってます** (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るるっち | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月2日 15時

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